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□青の中の赤13
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「……」
着なれた赤い軍服に袖を通し、ラクスに案内される、という
些か不思議な気分にさせられながらザフトの廊下を無重力に漂いながら進む
ラクスから、パイロットスーツに着替えるように言われ一人になった更衣室でぼんやりと考える
(僕は…本当に、彼らを…アークエンジェルの人達を撃てるんだろうか…)
フラガと対峙した時、友人の続けざまの死に動揺したのも確かだが
ほんの数ヵ月ながらも上司と部下の関係になり
ナチュラルの中のコーディネーターという異分子に普通に接してくれたフラガの顔が脳裏に浮かび
標準を合わせたライフルの引き金を引けなかった
また、同じ状況に何度も遭遇するだろう
その度に撃つのを躊躇うのだろうか…
任務のため、とこの手で撃ってきた顔も知らない同胞は良くて
見知った敵は殺せない、なんて…軍人として最悪だ
「…でも、やらなくちゃ…
ザフトの……ラクスのために…」
合言葉のように呟いていた「ザフトのために」この言葉があまりにも空っぽに感じて
ラクスのために、と言い直したらストンと腑に落ちた
(そうだ…僕は…ラクスが笑顔で暮らせる未来のために…全てを撃とう…)
「キラ…準備は出来ましたか?」
「あ、うん…今行く」
扉越しに声をかけられ慌てて頷き、ヘルメットを片手に扉を開く
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