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□青の中の赤13
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ふわりと微笑むラクスはいつも通りだが
また戦場に戻ると決めてからラクスは「キラ様」ではなく「キラ」と呼ぶようになった

「こちらですわ…」

フワフワと桜色の髪を漂わせながら、格納庫への通路を進む

歌姫のラクスには場違いで、なんだか夢を見ているような気分だった

格納庫への扉が開かれ、ブリッジを進む
そこには、見たことのない機体があった

「がん、だむ…?」

「え?こちらはZGMF-X10A、フリーダムですわ…
でも、ガンダムの方が可愛いですわね」

クスクスと微笑むラクスの言葉に、まじまじと機体を見つめる

まさか、ザフトが連合の作ったガンダムを模した機体を製造していたとは…

「でも、なんで…?」

「力が、必要でしょう?それから…これも…」

無邪気に微笑むラクスが取り出した手のひらに乗せられた箱
ラクスの華奢な指が蓋を開くと、上質のベルベットの上に置かれた羽のようなデザインのブローチに目を見開く

「なんで!?ラクス…なんで、君がこれを…」

「キラの自由の為には、想いと力が必要だと思いまして…
強い想いは既に持っていますわね…
ならば、それに見合った強い力も必要でしょう…
フェイスの証…これがあれば、キラ…あなたは一小隊に縛られず自由に戦えます…
お父様と、ザラ議長に頼み込んで、キラをフェイスにしていただきました」

ニコニコと、柔らかな笑みを浮かべてはいるが、瞳はしっかりと前を見据えていて、小さく息を飲む

目の前にいる、彼女は僕の知っているラクスなのだろうか…?

「…君は…誰…?」

「私はラクス・クラインですわ…キラ…」

はっきりと返された言葉に、目を瞬かせ、自分は何を戸惑っていたのかと息を吐く

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