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□バイオレーション
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それからもキラに犯される日々は続いたのだが
ある日の練習中、ルナマリアと共に体調不良で倒れた

「大丈夫?とりあえず今日は早退してゆっくり休みなさい
病院にも行くのよ?」

「はい…すみません…」

「明日の練習は参加します…」

コーチのマリューに頭を下げ二人で帰り支度を済ませ病院へと向かう

「おめでとうございます、3ヶ月ですね…」

「え…?」

優しく微笑んで話す医者の言葉が理解できず目を瞬かせる
無意識に下腹部に手がいき、この中に命がいるのかと思うと血の気が引いた

血の滲むような努力の末手に入れた憧れのフォルトゥーナのトップの座を引きずり下ろされているような錯覚を覚えた

涙が止まらなくて、泣きじゃくるラクスに医者は何かを察知したのかそっと肩に手を置き落ち着くまで待ってくれる

「……堕胎するという手段もあります
もし、望んだ妊娠ではない場合はよく考えてから決断することも出来ますよ…」

「う…ぐす…は、い…」

資料を渡され、診察室を出ると廊下のベンチに目を赤く張らしたルナマリアがいて
手には同じ資料を持っていた

「ルナ…」

「ラクス…あたし……ラクス、も?」

互いの手に握られた資料にまた視界が滲む

「……手術…試合が無い日が良いわよね…」

「そう、ですわね…あまり遅いと堕胎出来ないみたい、ですし…」

ベンチに並んで座り、ぼんやりと資料の表紙を眺めながら話し合う

二人とも産む気はなかった

「ママー!!」

「「っ!?」」

ぺたりと膝に触れてニパッと微笑む子供に喉がひきつる

「こら、違うでしょ!!
すみません…」

慌てて抱き上げ謝る母親に慌てて首を振りつつ動揺が隠せない

「…ごめんなさい…ルナ…
私…下ろせない…」

「ラクス…」

「だって、今の子を見て…
この子もあんな風に育つのかなって…思って…」

止まった涙がまた溢れだし、顔を覆うとルナマリアが寄り添う

「あたしも…下ろせない…
いつか、本当に望んだ妊娠をしても…きっとこの子の事、忘れられない…」

そのシーズンを最後に、フォルトゥーナのツートップは電撃引退を表明し
そのまま消息は不明となってしまった


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