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□ブラコン
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俺、シン・クラインはそれはそれは屈辱的な気分だった
だけど、俺と彼女のルナマリアの未来のためにも必要な事なのだ
(解ってる…解ってはいるんだが…
こいつにだけは頭を下げたくなかった!!)
ソファに腰掛け、ニヤニヤと楽しげに笑う悪魔…もとい、義兄のキラ・ヤマトを憎々しげに睨む
「あはは、シンくん怖いよ〜
教える気無くしちゃうなぁ」
「ぐっ…お願いします…お、お義兄さん…」
渋々と頭を下げれば満足気に頷かれる
そもそも、なぜこんな状況になったのか…
それは、高校時代からの付き合いのルナマリアと卒業旅行に行く事になったのだ
今までは学生として健全なお付き合いを重ねてきた
しかし、できればこの旅行で次のステップに進みたいと思ったのだが…
上手くリード出来るか不安になり、悩んだ末に先月姉と入籍をした忌まわしき天敵、キラに教えを請う事にしたのだ
「いやぁ…シンくんから相談されるとは…義兄として嬉しいよ!」
「ぐ…本当なら、あんたなんかに頼りたくなかったけどな…」
口を尖らせて呟けば、それまでのヘラヘラした笑みが消え真剣な表情になる
その変わりように驚いて言葉に詰まるとキラはしっかりと見下ろして頷かれた
「嫌な奴に頭を下げてまで、彼女の事を考えてるのは良いことだよ
特に初めてならば、尚更自分の事なんか二の次でいいんだ
彼女の事を一番に考えてやらないとね」
やんわりと微笑むキラに今までラクスの恋人だからと毛嫌いしていたのが申し訳なくなるくらいだった
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