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□ファルス
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彼、キラとの出会いは偶然だった
それから数回、約束をして街を一緒に歩いた
会う度に惹かれていく気持ちを抑える事なんて出来なくて、城に戻っても、寝ても覚めてもキラの事ばかりを考えてしまっていた
(旅の途中と言ってましたわね…
何時までこの国に居てくださるのかしら…
いっそのこと、正直に話してずっとこの国に居てくださらないか聞いてみようかしら…
今日の夕方に会う約束ですから…その時にでも…)
窓から見える、広大な庭の向こうに微かにトンガリ屋根だけが覗く広場を見つめながらキラの事を考えていると扉がノックされる
「失礼いたします…姫様、陛下がお呼びでございます」
「そう…直ぐに向かいますわ…」
メイドのメイリンが恭しく頭を下げる姿を見て、立ち上がり姿見で軽く身嗜みをチェックすると執務室へと向かう
身長の何倍もある扉の前に立つと衛兵が我が国式の敬礼をしてから扉を開く
「失礼いたします…
何かご用命でございましょうか、国王陛下」
スカートの裾を広げ、恭しく頭を下げてから問い掛ければ
父であり国王であるシーゲルが手にしていた巻物をテーブルに置き立ち上がる
「うむ…どうにも隣国の…アカツキに良くない動きがあるようでな…
ラクスにも軍議に参加してもらいたい…」
「はい、畏まりました…」
長年対立しているアカツキの名前に気を引き閉め、シーゲルに促されるまま軍議室へと移動すると
大量の資料や国境付近の地図に埋もれたバルトフェルド大佐が出迎えてくれる
「姫様に頼るのも情けない話ですがね…正直、拮抗状態が長いんです」
「いえ、構いませんわ…
それより、寝ていないのでしょう…少し休憩を取ってからの方が脳も働きますわ」
その間に戦況などの確認をすると告げれば申し訳なさそうに頷き、幾つかの書類に目を通すように告げてからソファに身を沈めるバルトフェルド
直ぐに聞こえてくる寝息を聞きながら、ダコスタに指示を与え
その指示が直ぐ様現場へと伝達されていく
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