6
□ファルス
4ページ/9ページ
自室でドレスに着替えると軍議室に向かえば、正に最終局面の会議中だった
ラクスが離れたほんの数刻の間にアカツキに新たな援軍が現れ、有利だった戦況がまたもや拮抗状態…寧ろ不利になりつつあった
「どうも、彼方さんの王子が前線に出てきたらしくてな…」
「王子が…?」
「ああ、それで兵の士気も上がったらしい…
明日の明朝には僕とダコスタ君も戦地に向かう予定だよ」
「私も出ます
ダコスタさん、馬は直ぐに用意できます?
明朝ではなく、準備ができ次第の出立にしましょう
こうしている間にもこちらの兵力は削られているのですから」
バルトフェルドに告げダコスタに指示を出すと、安全な城の軍議室から動くつもりの無い元老達からの反論が出る前に支度に向かう
(いつかはああいった人達も入れ換える必要がありますわね…
でも、その前にまずはアカツキを攻略してから、ですわね…
こんな状況で内部分裂する事ほど馬鹿な事はありませんわ)
ドレスを脱ぎ捨て、戦装束に着替えると陣羽織を羽織り、下ろしていた髪を一つに括る
少し悩んで、少し前にキラからプレゼントされた赤いリボンを付けると更に気が引き締まり、タイミングよく呼びに来たダコスタに連れられ戦場用の馬車に乗り込むと戦地へと赴く
向かう間も伝令兵からの情報で逐一戦況と地図を確認しながら指示を出し続ける
「ふぅ…そろそろ、ですわね…」
国境が近付くにつれ、王都ほどの賑やかさは無くなり
一般の民ではなく、疲弊した兵士たちの姿が見える
「姫様は出来るだけ後方で指示を出してください
普段よりは少ないけれど護衛も着けますんで安心してください
僕が前に出ますから、伝令はダコスタ君に頼めばいいでしょう」
「そんなわけにはいきません
私なんかの為に兵力を裂いては勝てる戦も勝てませんわ
それに、これでも銃や弓だけでなく剣の扱いにも慣れています
今までも何度か戦地に赴いて共に戦ってますのよ?
私が率先して向かわねば兵の士気が下がります」
「しかし…っ…わかりましたよ…
あまり、深追いはしないでくださいよ」
反論しかけたバルトフェルドを睨むと諦めたのか深く溜め息を吐き、頷く
「わかっていますわ…
ダコスタさん、私の馬を前に…」
「はっ!!」
馬車の窓を開き告げれば直ぐに愛馬が側まで連れて来られる
馬車を降り、腰に剣帯を身に付け柄も鞘も、全てが白くうっすらと桜の花弁が彫られた刀を着け馬に股がる
「…皆さん、今までよく堪えてくれました!
さあ、このまま一気に私達ザフトの力を見せてあげましょう!!」
刀を抜き、掲げながら兵達に告げれば雄叫びが上がり、一気に士気が上がったのがわかり緩む頬を抑えながら敵陣へと進む
.