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□メリクリ
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見知らぬ天井
持っていない色のシーツ
ほんのりと微かに香るユニセックスのマリン系コロンの残り香
遠くから聞こえるシャワーの音
お気に入りのラベンダー色の下着の上に着せられた男物のブカブカのシャツ
ズキズキと痛む頭と身体

目が覚めてから気付いたものを羅列してみたけれど、
現在地と今の状況が理解できない

(…取り合えず、ホテルでは無さそうですわね…)

床に散らばる雑誌やローテーブルに置かれたカップ麺の空き容器とパソコンは生活臭を漂わせている

(という事は…誰かの家に連れ込まれて…
服がないですから…まさか…そんな…)

こんな形でロストバージンなんて、と頭を抱えようとした時にガチャリと扉が開かれる

「あ…起きたんだ…
体、大丈夫?」

「え…あの…は、い…?」

ズボンだけを身に付けて、上半身は裸のままタオルで髪を拭きながら入ってきた男性に戸惑う

(体?体って…やっぱり、そんな…)

サァッと血の気が引いていく
やっぱり、こんな形で見知らぬ人に捧げてしまったのか…と泣きたくなる

「あー…取り合えず、今後の事なんだけど…」

「わ、忘れましょう!!」

「は?」

「お互い、その方が良いですわ!!
知らないうちにロストバージンは辛いですが…責任を取れなんて言いませんわ
犬にでも噛まれたと思って…「ちょっと待って!!」」

ギョッと目を見開いて言葉を遮る男性に戸惑いつつ見上げれば、男性も酷く戸惑っていた

「…君、昨日の事覚えてないの?」

「え?昨日の事…」

ズキズキと痛む頭で何とか少しずつ記憶を遡る

確か…学生時代からの仲良しグループで、クリスマス会をしようと約束していて…
フレイが婚約者のサイと喧嘩した事
カガリは彼氏のアスランが仕事で翌日にデート
ミリィはアプローチされているディアッカが海外出張中
シホは片想いのイザークに思いを告げられそうになくてフリー
そして私は片想いの相手もいないフリー…
そんな諸々の事情からクリスマスイブに集まろうと約束して…


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