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□HAPPYBIRTHDAY!
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「普通、彼氏であるキラが用意するべきじゃありません?」
「いや、手料理は去年のホワイトデーに意識を失ってから懲りたからね
でも、大切な彼女にサプライズパーティーはしたくて…準備を手伝わせるってサプライズにしてみた」
グッと親指を立てるキラに呆れた表情を向け、深くため息を吐く
「いや、十分サプライズでしたけどね…
それなら、デートに連れてってくれるとか…結局朝からずーっと料理しっぱなしでもう夜ですし…」
ついつい愚痴っぽくなってしまうのは、少なからずキラとの誕生日を楽しみにしていたから
友達には別の日に祝ってもらうようにお願いして、丸一日キラの為に開けていたのに…
(そりゃ、盛大に祝われるよりは二人でまったりの方が好きですけど…)
チュッ
拗ねて尖らせていた唇に、そんな可愛らしいリップ音が響いて目を瞬かせる
「…何するんですか…」
「あれ?キスのおねだりじゃなかったの?」
「っ…私は、キスのおねだりなんてしませんもん!」
プイッと顔を反らせば、何時もギュッと抱き着いてきて、からかうような口調で意地悪を言いながら服を脱がせようとするのは解ってる
だから、今日はきっちり逃げてやるんだから、なんて密かに意気込んでいたのに
キラはケーキだけじゃなく、料理も小皿に取って給仕に徹してる
「……?」
珍しい、なんて思いながら見れば、クスッと小さく噴き出して恭しく頭を下げる
「料理やケーキは作らせちゃったけど…今日のラクスはお姫様だからね
君の許可なしにはしないから安心して?」
さっきのキスはなんなんだ、なんて思いつつ、行儀は悪いけど膝を抱えてじっと睨むように見つめる
「……ご飯の後にして欲しい、なんて言わせるなんて…キラは意地悪ですわね」
「…っ…ラクス可愛すぎ…」
頬を赤らめて小さく呟くキラにほんの少し、してやったり、なんて思うも
膝を抱えていた手をそっと取られ、甲にチュッと口付けられる
「…ラクスの満足するまで、愛情あげるよ」
「キラからの愛情、一日やそこらで満足すると思いますの…?」
そう告げれば、ほんの少し目を瞬かせて笑うキラに吊られて微笑む
今日はお姫様なんだし、目一杯甘えて我が儘を言っちゃう事にしましょう…
そうですわね…まずは、ケーキを食べさせて貰おうかしら
end