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□シロツメクサ
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あっという間に着いた教室で、一番前の席に下ろしてもらうとランドセルから座布団を取り出して高さを増やす

荷物を沢山入れられて、私の体型できちんと持てる鞄で厳選した結果がランドセルだった…
別に良いんですけどね、ランドセル便利だし!
今はカラフルだしデザインも可愛いのいっぱいあるんだから!
今使っているのだって焦げ茶のシックなデザインの物で以外と友人には好評だし…

別に、成長を止めた事に驚きはしたが悲しみはない
だけど、一番前の席じゃなきゃ中学生からは黒板が全く見えないのは困り物ではある

大学の机は大人サイズで、足は浮くし、机との差もあって少々書きにくいのも難点だけど、座布団を敷けば解決する事と諦める

「一番前の席で授業とか久し振りだな〜」

「……別に、席まで隣じゃなくても…」

座布団で高さを調整してランドセルから教科書とノートを取り出して準備万端にすると、隣に腰掛けるキラに首を傾げる

彼、キラ・ヤマトは変わっている
幼稚園からの腐れ縁で、常に側にいて毎日のように愛を囁いてくる

ロリコンなのか、というとそう言うわけではないらしい
実際、出会いでもある幼稚園の入園式で告白されてから毎日好き、愛してる、可愛いと恥ずかしげもなく告げてくる

身体が成長を止めてから、徐々に同級生達が薄気味悪いと距離を置くなか、相変わらずべったりとくっついていた

身体は成長しないながらも、心は成長するわけで、高校の時に人並みに性について興味を示してから今に至るまで何度か身体を重ねているが
正真正銘の子供体型によくもまあ、欲情できるものだと毎回感心してしまう

進路も、私が自分の身体を治す手懸かりを掴みたいと医学部進学を決めたら工業系に進むつもりだったキラもあっさりと進路を医学部に代え、同じ大学へと進学した

『手分けした方が早く見付かりそうじゃない?』

なんて言って私の進んだと内科とは違い診療内科を選択したキラ

独り暮らしをする部屋へともお互い頻繁に行き来する仲だが恋人ではない

私のような、訳のわからない身体の子よりもきちんと幸せになって欲しいから、告白を受けたことはない…のだが…
キラはモテる…とにかくモテる…のに、私の事ばかりで彼女が出来ないのだ

「あの…キラ、幼馴染みだからって私の身体の事気にしないで、彼女とか作っていいんですからね?
別に、ずっと私を構わなきゃいけない訳じゃないんですし…」

「は?何言ってるの、僕はラクスが好きだから側に居るんだよ
て言うか、僕が離れたらラクス可愛すぎて直ぐに恋人出来ちゃいそうだもん!離れたくない!!」

「こら、ヤマト、授業始めるからちゃんと前見ろ前!」

勢いよく横から抱き付いてくるキラを教卓へと上がりながら注意するフラガ先生の姿に苦笑しつつ、授業を受ける

今日も滞りなく…やや、実験で机の上が見えずらくて踏み台を借りたりしたけど、いつもの事…基本滞りなく授業を終えて、帰路に着く

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