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□シロツメクサ
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ある日、私の身体は成長する事を辞めた
「あ、こらこら!ここは学校関係者以外立ち入り禁止だよ?」
「……私、ここの生徒なんですけど…」
毎度の事ながら、大学の厳重な警備は私をスルーせず、初老の警備員が駆け寄ってくる
「え!?いや…嘘はいかんよ、お嬢ちゃん…」
「…これ、学生証…」
「えぇ!?じ、18歳…?あ、いや、すみませんでした、どうぞ…」
それまでの子供を相手にした口調から、きちんとした口調に変わった事に軽く会釈して学生証をしまい、構内を歩く
驚くのも無理はあるまい
なにせ、私の見た目年齢だけは、十年間全く変わっていないのだから(しかも、ランドセルのオプション付き…)
ピッタリと、身体が成長を止めてから一ミリ足りとも伸びない身長
自分ですら気味が悪いと思う
だから、医学部に進学したのだが…
成長しないだけで健康そのものな身体をどう治すべきなのかと入学して約一年、早くも行き詰まってしまった
「ラークス!今日も相変わらず可愛らしいね!」
「…キラ…おはようございます…取り合えず、下ろしてください」
ガバリと後ろから羽交い締めにされて、頬擦りされれば宙に浮く足
犯人は毎日のように繰り返してくる幼馴染みのキラなのは見なくともわかる
「ちぇっ!相変わらず連れないなぁ…僕とラクスの仲なのに」
「私と貴方はただの幼馴染みでしょう…と言うか、一限に間に合わせたいんです…」
私の足は短いから、そう言い切る前に抱き直され、キラに抱っこされる
「僕も今日は同じ授業なんだ
ラクス、一緒に連れてってあげるよ」
「………ありがとうございます…」
どうしようか悩んで、キラに運んで貰った方が遥かに早く教室に着くな、と納得して頷く
よしきた!と言うやスタスタと校舎に入り、一限の授業を行う教室へと向かうキラ
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