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□doll
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終戦後、私は暫定議長としてプラントで事後処理に奔走し
キラはモルゲンレーテでカガリさんのお手伝い…と思いきや、こっそりとザフトの試験を受けて、あろうことか白服を身に纏って目の前に現れた

久しぶりの再会に人目も憚らず抱き付いて、キラの温もりを感じてしまったのは今でも思い出すと少し恥ずかしい…

そして、戦後のバタバタもようやく落ち着きを取り戻し、私が暫定議長の座から退くとキラもまた白服を脱いだ

暫定議長の時に修復し、住んでいた生家…クライン邸にキラもまた住むようになり、同棲をして
このまま籍を入れてキラの子供を生んで家族でのんびりと過ごすのも悪くないな、と職を辞してからそんなことを考えていた

しかし、四六時中一緒に居るから気付いたのかもしれないし、悪化したとも言えるのかもしれないが
キラの過保護が酷くなってきている気がするのだ

最初は些細な事、たまたま貰ったカボチャを煮ようと思って切ろうとした時、余りにも固く梃子摺った結果、指をほんの少しだけ切ってしまった

小さな悲鳴に慌てて飛んで来たキラはぷっくりと滲んだ紅い玉に青ざめ絆創膏で手当てをしてくれ、その日は終わった

だが次の日からキラはレシピ本や料理番組を真剣に眺め、徐々に私に料理をさせなくなった

もともと、頑張って人並みな私とセンスがあったのかあっという間に上達したキラとでは味が雲泥の差で
少々、いや、かなり…女性としてのプライドが傷付きながらも料理はキラの役目として身を引いた

ならばせめて洗い物は私が!と名乗り出るも、洗剤は手荒れの原因だと仁辺もなく却下
どうしてもやりたいならハンドクリームをたっぷり塗ってからゴム手袋をするようにとの申し付け
しかしその準備をしてる間にキラがさっさと終わらせてしまう

マルキオハウスでは毎日行っていた洗濯も、同じように手荒れの原因だ、と気付けばキラに役目を取られ
ならばお掃除!と張り切るも、掃除機が重いだろうとこれもまた取り上げられてしまった

気付けば今や生活の全てをキラに任せている状況だった

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