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□doll
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薄々と感じていたことが、最近になって明確になった気がする

「ラクス、はい、あーん…」

「あ、ん…」

小さく、ちょうど良い一口サイズのプリンが乗ったスプーンが口許へと運ばれて、躊躇いがちに開けば優しく口内へと流される

甘いプリンとほろ苦いカラメルが絶妙な味わいで自然と表情が緩むのを押さえられない

「美味しい?」

「ん…はい…」

コクりと頷けばホッと息を吐いて嬉しそうに目を細めるキラがもう一口とカップから掬ってまた口許へと運ばれる

「良かった、今日のは自分でも自信作だったんだ
習ったかいがあったよ」

「んむ…言ってくだされば、私も一緒に作りましたのに…」

「ダメだよ!火を使ったんだ、もしそれでラクスの綺麗な肌に傷がついたらどうするのさ!!」

あぁ、まただ…

手荒れのしていない、綺麗に長さの揃えられた桜色に輝く爪のついた指を撫でるキラにそっと溜め息を吐く

戦火の中で出会い、再会し、付き合いだしてから
度々キラは心配しすぎと呆れる事があった

しかし、なんの訓練もなく巻き込まれ、なし崩しで軍に所属し
たくさんの同胞や友人の死を見てきた、心優しい彼だからだろうと納得していた

一度目の前線から退いた後は自分の心の傷を癒すので精一杯でまるでそこに居ないかのようで寧ろ私が過保護だったような気がする

そして、また戦火の中へと私のせいで舞い戻り、心身共に落ち着きを取り戻し
また周りの人を気遣えるような人に戻って安心したのも束の間

常にピッタリと寄り添い、戦艦での私室もなし崩しで同室に
作戦の為の別行動も散々渋り、お陰で全員助かったとは言え、作戦を無視して単独での宇宙飛行

以前のキラならこんなことしたかしら?と何度も首を傾げた

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