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□新しい〇〇〇
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翌朝、電話の音に飛び起きればキラからラクスが無事に出産した事が伝えられる
「おめでとう!父さん…
本当に、良かった…」
「ありがとう…シン
今日は学校休んで良いから、今から病院においで?」
普段ズル休みを許さないキラからの提案に驚きつつも
直ぐに支度して向かうと告げ電話を切る
弟か、妹かどちらだろうとワクワクしながら服を着替え家を飛び出す
自転車を用意する時間ももどかしくてそのまま駆け足で病院に向かった
近所の産婦人科に駆け込み受け付けでラクスの名前を告げれば病室に案内される
「シン、早かったね」
「ん…シンくん、朝早くにごめんなさいね」
ベットに横たわり微笑を浮かべるラクスに首を振り
キラの出してくれた椅子に腰掛ける
おめでとう、と告げればありがとう、と笑い返すラクスはすっかり母の顔で
急に大人の女性になったように見えた
看護師が保育器を運んで病室に訪れ、いよいよ赤ちゃんとご対面と胸が高鳴る
「うわぁ……スゲー…
サルっとしてる…」
「シン…もう少し言葉があるでしょ…」
保育器を覗き込みつい思った事を口に出してしまい
苦笑いするキラに軽く小突かれる
ラクスと看護師にも笑われ微かに照れつつスヤスヤと眠る赤ん坊を見詰める
まだ産毛だが髪色はキラに似た茶髪のようだった
瞳はどちらに似たのだろうかとワクワクしながらも
じっと見詰めているとラクスが近付いてきた
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