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□コンプレックスシスター
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ガランガランガラン
《大当たり〜!》
夕方の商店街にメガホンにより拡大された声が響き渡る
「一等、和牛すき焼き肉四人前出ました〜!
いやぁ、まさか初日に特賞と一等が取られるなんてねぇ…」
パックに入った高級そうな肉を差し出されると周りから拍手が起こる
すき焼き肉か二等の米10キロ狙いだったから結果は上々
湯豆腐の予定だった夕飯が和牛のすき焼きにランクアップした瞬間だ
学校帰りに夕飯の買い出しをするのが日課で
何時ものように買い出しを済ませ、福引き券が貯まったから福引きをして帰宅
「…久しぶりに良い肉だなぁ…
四人前は俺と親父だけじゃ多いし、姉ちゃん呼んでやろうかなぁ」
キラは…まぁ、姉ちゃん呼べば勝手に来るし、今日の俺は機嫌が良いからな
二切れくらいなら分けてやらないでもない
なんて考えながら玄関の扉を開けると見慣れた懐かしい靴が
慌ててリビングに駆け込めば姉ちゃんがソファでテレビを見ていた
「姉ちゃん!どうしたの?」
「あら、シンお帰りなさい」
「ただいま、じゃなくて…家に居るの珍しくない?」
嫁に行ってから俺と親父の二人暮らし
母さんは数年前に病気で他界
たまに遊びには来るけど日曜日とかにキラと一緒なのに一人で
しかもまだ親父が帰って来る前なのにと首を傾げる
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