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□【恋に頑張る10のお題】<完結>
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04.もしも嫌われたらなんて考えて、涙が溢れた


翌日、何時ものように中央図書室に向う

今日もコンタクト
髪型は朝一で体育もあったのでフレイにツインテールにされた

休み時間の直前の授業が図書室で自習だったので
先生に了承を取ってそのまま図書室に残った

まだまだキラは来ないだろうし待っている間だけ、と本を開く

今日はシホに薦められた恋愛小説

最近話題らしいがまだ読んだ事が無かった

ページを捲りながら物語の世界に没頭する

そして、小説の中盤で恋人同士が気持ちの擦れ違いから仲違いしてしまうシーンがあった

好きだった相手を嫌いだ!と罵り合い嫌悪を露にする二人

「っ……」

もし、自分がその状況になったら?と考えたら涙が滲んだ

まだほんの数回しか会っていないけれど

恋人でも、ないけれど…

ヤマト君に『嫌い』と言われたら…

自分の想像で悲しくなってポロポロと涙が溢れた

ガタンッ

「ラクス!どうしたの!?」

大きな音に慌てて顔を上げればキラが青ざめ
心底心配そうに顔を覗き込んでいた

「っ!?あ…や、ヤマトく…」

「何かされたの!?誰!?」

誰に泣かされたのかと鬼気迫る表情で迫る彼に
慌てて首を振り違う、と告げる

「ほ、本…本を読んで、て…
ちょっと…感情移入、し過ぎて…」

「本…?…そっか、それなら、良かった…」

本を指差しながら説明すれば顔と本を何度か視線が往復した後
納得してくれたのかホッと胸を撫で下ろす彼の姿に
さっきの自分の想像がバカバカしく感じる

こんな優しい人が嫌悪を露にして『嫌い』と言うかもなんて考えていたなんて…

それこそ彼に対して失礼過ぎる

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