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□【恋に頑張る10のお題】<完結>
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金髪の、少し日に焼けた肌の健康そうな女の子

笑いながら話す二人の声は図書室だからか潜められてて聞き取れない


どうして?

何で、そこに座ってるの…?


ソコは、私の居場所なのに…っ!!



自分の中に急に沸き上がった汚い感情に耐えきれなくて
携帯を取り出し手早くメールを打ってその場から逃げ出す

後ろで誰かに呼ばれた気がしたけどそのまま図書室を飛び出した


誰も居ない廊下を走って、角を曲がってその場に座り込む

「っは、はぁ…はぁ……っふ…」

運動は苦手だから、苦しくてもう走れなかった

だけど、それだけじゃなくて
他の事にも胸が締め付けられて涙が滲んだ

おまじないに頼るだけじゃ、ダメってわかってたのに…

せっかく、勇気…
出せそうって思ったのに…

「…ラクス!!」

「っ!?…え?なん、で?」

いきなり後ろから名前を呼ばれて慌てて振り向けば
ソコにはヤマト君が居て急いで立ち上がる

「な、なんで…!?
ここ…もう、女子部…なのに…」

「っはぁ…ラクスからメール来た後…
受け付けが、不備があるって呼んでて
ラクスが来てるのが解って…」

呼ばれた気がしていたのは気のせいじゃなかったんだ…


息を軽く吐いて直ぐに呼吸が整ったヤマト君は運動が得意な方なんだな、と思った

「…ラクス、何か、あったの?」

「な、何も…無い、ですっ」

滲んだ涙を見られたくなくて慌てて俯いたけど
頬に手が添えられて上に向けられる

「…僕は、ラクスの相談に乗れないくらい…頼りない?」

「そんな事…っ!
そんな事…無い、です…」

こんな、自分の汚い感情のせいで
ヤマト君に迷惑をかけてるなんて…と思うと、余計に悲しくなった



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