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□【恋に頑張る10のお題】<完結>
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「…なに?」
今までの柔らかな笑みで話していたヤマト君からは想像できない程に冷めた声に
ほんの少し、ビックリした
「え…っと…此処じゃ、ちょっと…」
チラチラと私に視線を送りながら告げる彼女
告白だ、とピンと来て緊張が走る
「……解ったよ…
あまり、時間は取るつもり無いけど?」
「それでも、いいから…!」
溜め息を吐いて立ち上がるヤマト君嬉しそうに笑う女の子
「ごめん、ラクス…ちょっと行ってくる
直ぐに戻るから」
「あ…えと…私の事は、気にしないで…ください、な?」
申し訳なさそうに告げるヤマト君の後ろから
じっと見てくる女の子の視線に耐えきれなくて俯きながら返す
苦笑気味に席を離れるヤマト君の背中を見る事も出来なくて
俯いたまま気配が消えるのを待った
彼が常に面会希望を拒否しているのは知っていた
だけど、最近毎日図書室に来ているから…
唯一直接会える場所に彼が通っているから、と来たのだろう
「……なんか…やだ、なぁ…」
自分だって今じゃヤマト君に会う為に図書室に来ているのに
他の人が同じ事をして彼と会うというのが、スゴく嫌だった
彼の姉のカガリさんがこの席に座って、ヤマト君と話していた時もスゴく嫌で
悲しくなって、汚い感情がいっぱいになって逃げ出してしまった
「……恋するって…辛くて…
汚い、ですわね…」
綺麗なままでは恋は出来ないんだと、生まれて初めて知った
つい、溜め息が出てしまう
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