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□【恋に頑張る10のお題】<完結>
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クラスメートは皆微笑ましい表情で此方を見ていたが
ラクスはそれより何より、キラの服装が気になっていた

「あの…ヤマト君…その恰好、は…?」

「あぁ、お化け屋敷の衣装のまま来ちゃったんだ
宣伝も兼ねてるし、いっかな〜って思って
着替えて来た方が良かった?」

眉を下げて問いかけられ慌てて首を振る

そうか、先程の歓声は彼か…と納得してしまう

キラは青いシンプルな着流しに狐のお面を頭に付け
ふさふさした毛並の狐の尻尾を揺らしていた

至極の表情でケーキを頬張るキラを眺めつつ、クラスメートが運んでくれた冷えた緑茶を飲む

教室、廊下の視線が二人に注がれていたが、ラクスはキラの姿の方が気になり気付いていなかった

「これもラクスが作ったやつだよね?こないだ食べたやつ」

「あ、はい…今日は本番なので…生クリームたっぷりで甘め、ですが」

「うん、美味しい」

ニコニコと上機嫌で食べるキラに歓声があがったが間近で見たラクスは頬を赤らめ俯く


その後、幾つか食事を終え他のクラスの出し物を見に行こうと教室を出る


二人で並んで歩くと擦れ違う人は皆振り向いていた

やっぱり、ヤマト君はかっこいいですから…
皆さん振り返りますわね…

女の子の視線に微かに、隣に並んでいる事が申し訳なく感じてしまう

きっと彼と文化祭を回りたかった子はたくさんいるのだろう、と思う

「ラクス、危ないよ」

「え?っ!?」

擦れ違う人とぶつかりそうになりグイ、と肩が引き寄せられる

一気に心臓が駆け足になり、頬に熱が集まる

このままでは心臓の音が聞こえてしまうかもしれないと反射的に突き飛ばしてしまった

「っ…ラクス…?」

「あっ……ご、ごめ…ごめんなさ…っ」

驚愕に目を見開くキラの視線に耐えきれなくなりその場から駆け出た


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