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□【恋に頑張る10のお題】<完結>
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「ごめん…もう、君にちょっかいかけたりしないから…安心して…?
男が苦手なのに…無理させてごめんね?」

何度も謝り、そっと離れようとするキラにラクスは呆然としてしまう


迷惑?無理させた?
誰が?

私、迷惑なんて…無理なんてしてないのに…ッ


「ま、待って…!待って、ください…」


ガタン、と椅子を鳴らして勢いよく立ち上がりキラを引き留める

図書室に響くような声は普段なら委員に叱られるが
今日は二人以外に誰も居ない為、咎める者は居なかった

「わ、私…無理してない、です…迷惑なんて思ってません…っ
ヤマト君と、お話、スゴく楽しくて…
いっぱい、もっともっと、お話…したい、って…思ってて…」

伝えたい気持ちが溢れだして、だけど上手く言葉にはならなくてもどかしさが募る

「ごめんなさ…上手く、言えな…
わ、私…ヤマト君と…一緒に居たい…のに…
心臓がドキドキして…苦しくなって…
だから…さっきも…さっきも、ヤマト君が直ぐ側に居て嬉しかった、のに…
ドキドキが、聞こえたらって…恥ずかしくて……
わ、私、ヤマト君の事が…っ!!」

ぐちゃぐちゃな思考のまま懸命に言葉を紡ぎ

意を決して思いを伝えようとしたら
間近に来ていた彼の指で唇を塞がれ遮られる

どうして、と視線で問いかけるように顔を上げると
柔らかな、見惚れてしまうような笑みを浮かべるキラと目が合う

「その先は…僕に言わせて…?」

「え…?」

意味が解らなくて目を瞬かせると一度体を離し、手をギュッと握られる

自分より少し低い体温

「ラクス・クラインさん
初めて見た時から君に惹かれていました
ずっと、君と一緒に居るのが僕だと嬉しい…」


心臓が駆け足になって、繋がれた手からどんどん熱が上がってる気がした


「ラクス…君が、好きだ」


真剣な瞳で告げられた言葉に一気に胸が高鳴って、頬に暖かい滴が溢れた

慌てる彼にクスリ、と笑って勇気を出して抱き付く

「…私も…ヤマト君が…キラ君が、大好きです…」

「っ…ラクス…」

ギュッと抱きしめられ、そのまま顔が近付いて
視界いっぱいに彼の顔が入り
慌ててきつく目を閉じたら唇に暖かい感触


あの日触れられなくて
だけど夢では何度も触れた唇が
今、本当に触れているんだ…夢みたい、とか思ったけれど

そんな事よりも
もっと彼の体温を感じたくて
腰に回していた腕を首に回して密着する

あんなに苦手だった男性とこんなに密着している不思議な気持ちもあったけれど
それ以上に幸せな気持ちに包まれた

ゆっくりと唇が離れると互いに目が合って、照れ臭くて同時に笑ってしまった


「…ラクス、まだ休憩時間残ってるし…文化祭、楽しもう?」

「はい…キラ君のクラスにも、行きたいですわ」

「うん、じゃあ行こう」


図書室の扉を開け廊下へと足を踏み出し、またお祭り騒ぎへと向う



二人の手はしっかりと握られていた


end
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