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□【恋に頑張る10のお題】<完結>
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02.どんな人が好みなの? 貴方の好みに近づきたいよ


電車で助けてもらってから数日

ラクスはキラに面会希望を出す事はできなかった

面会希望の用紙を貰いに行く時点で勇気が足りなくて
足が全く動かなくなってしまったのだ

なんて情けないんだろう、と落ち込みながら
日課である本を読みに中央図書室へ向かった

借りていた本を返却して、休み時間いっぱいを使って本を読む

そして、休み時間が終わる前にまた本を借りて教室に戻る


図書室は男女共有の割には全体的に利用者が少なく
閑散として静かでラクスのお気に入りだった

近所の図書館よりも蔵書量が多いのが売りなだけあって
天井高くまで積み上げられた本を二年生のラクスは入学以来毎日通いつめても
まだ半分も読めていなかった(専門書を除いて)

図書室の一番奥に
天井に届きそうな高さの専門書専用の棚に挟まれ、窓の側に一つだけ
他のテーブルと離れてポツンと置かれた小さな二人掛けの席があった

いつも誰も近付かないその席はラクスの指定席だった


何時ものようにその席に座りゆっくりと物語の世界に浸る

パラ、パラ、とページを捲る音だけがラクスを包み込む

そこに、カタン、と異質な音が響いて顔を上げた

「っ!?」

「こんにちは」

空席だった筈の正面にキラが座っていた

驚愕に目を見開き、呆然と固まってしまう

中央図書室は男女共有だから、彼がいても可笑しくはない

だけど何故この席に?と混乱しているとニッコリと笑みを向けられた

ポンッと音がしそうな程に顔に熱が集まる

慌てて俯けば、読んでいた本の文字列が視界に入る

全然内容は入って来なかった



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