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□【恋に頑張る10のお題】Side−K<完結>
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「まさか、急にそんな綺麗に変身して現れると思ってなかったから…
失礼な態度取ってごめん!」

慌てて両手を合わせて謝れば
ラクスも慌てて首を振り微笑んでくれる

「…ビックリ、させられたなら…
イメチェン、成功…ですか…?」

「大成功だよ!
凄く可愛い」

「あ、ああありがと、ござい、ます…」

本当に、他の男まで君の魅力に気付いちゃいそうで心配になるくらい可愛かった

頬を赤らめつつ、何時もの席に座るラクスを見詰めているとふと違和感を感じる

いつも彼女が持ち歩いている分厚い本の上に薄い本が置かれている

「あ…あの…これ…昨日、言った…優しい本…
ヤマト君に…お勧め、の…」

「え?本当に選んでくれたの?」

その本を凝視していたらラクスが慌てて口を開き説明してくれる

少し期待はしていたが、自分の読みそうな本をわざわざ探してくれたのが嬉しかった

困ったようにまた俯いてしまったラクスの視界から選んでくれた本を抜き取る

本を追いかけるように顔が上がり、ラクスと目が合う

「ありがとう!
まさか本当に選んでくれるなんて思ってなかった…
ちゃんと読ませてもらうね!」

「あ、でも…活字、苦手、なら…無理、しないで…ください…」

そうか、昨日活字が苦手って言ったから迷惑かもって悩んでたのか…

「君が選んでくれたんだから、ちゃんと読むよ」

君が読んで、って言ったら
僕は昨日のドイツ語の医学書だって読んでみせるのに…



その日の休み時間、ラクスが本を開かないように
自分に注意を惹き付けたくてたくさん話をした

ラクスも辿々しくもクラスの話や、好みの話をしてくれた


時間が経つのがとても早くて、長いはずの休み時間は
あっという間に終了のチャイムが鳴らされた

名残惜しい気持ちを抱えながら
ラクスに書き方を教わって貸出しカードを記入し
受け付けを済ませ廊下に出る


「あ、あの…また、明日…」

「っ!?うん、また明日!」

優しく微笑んで小さく手を振って挨拶してくれた彼女

また会えるんだと沈んだ気分が一気に急浮上した午後だった



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