‡Title

□【恋に頑張る10のお題】Side−K<完結>
22ページ/31ページ


文化祭でラクスの手料理が振る舞われるのは少々気に入らないが
合法的にお腹一杯食べれるのだと思うと
やはり、当日はラクスのクラスに行かねば、と思う

放課後、文化祭の話し合いで遅くなり
ようやく帰れる、と軽く伸びをしながら携帯を開く

何時もなら帰宅したとラクスからメールが来るのに
今日はまだ来ていないから寄り道中かな、と思いながらメールを打つ


乱雑に教科書を鞄に仕舞い、一番上にラクスから渡された包みをそっと丁寧に仕舞っていると携帯が鳴る

サブディスプレイにラクスの文字が見え慌てて開く

《感想ありがとうございます!
ヤマト君にそう言って頂けると、安心してメニューに出せますわ
また試食してくださいね?
話し合いお疲れ様です(^-^)
私もようやく話し合いが終わって今から帰宅するので
もし駅で見かけたら声をかけてやってくださいな(^^)v》

その内容を見た瞬間、時計を確認する

既に6時近くなっていて、もう冬に近いこの季節

外は真っ暗だ

直ぐ様履歴の一番上をコールする

ややあって電話が繋がる

『も、もしもし…?』

「もしもし?ラクス?
今から帰るんなら、遅いから送ってく!
女子部の校門で待ってて」

『え?あ、あの…』

何時もならじっくり聞きたい愛らしい声を遮るように用件だけを言うと電源ボタンを押す

途中だった帰り支度を済ませ、クラスメートに挨拶もそこそこに教室を飛び出した

昇降口で靴を履き替え男子部の校門を出て、一度駅に入る

改札の前を素通りして、女子部正門側の出口から出れば
同じ学校の女子の制服を来た女の子達と擦れ違った

男子部も女子部も、それぞれ近くの駅出口からは徒歩1分

上空から見ると駅と並んで学校が建っているような形だ

門の側に、外灯に照らされ佇む人影を見付けた

柔らかな桜色の髪を風にふわふわとなびかせ、通行人を見ている

目が合うと、パァッと嬉しそうに微笑んで駆け寄って来るラクス

そして、図書室やメールのように他愛ない話をしながらラクスを送って行く


家の前まで来ると、真っ暗なクライン邸に驚いたが、
ラクスは何時もの事とばかりに鍵を取り出し、玄関を開ける

戸惑いつつも、また明日、と挨拶をして帰路に着く

「…はぁ…僕がラクスの彼氏なら…
一緒に夕飯食べるとか…家に招くとか…出来るんだろうけど、なぁ…」

漸く、明かりが灯ったクライン邸を振り返り
明かりが灯り、既に夕飯が用意されているのだろう我が家とを比べてしまうキラだった


next
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ