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□【恋に頑張る10のお題】Side−K<完結>
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09.今、貴方と私の距離はどれくらいなのですか?


文化祭当日

キラは着流しに身を包み、顔を狐面で隠し墓石に座っていた

墓石、と言っても当然本物では無く段ボールやベニヤ板で作られた物なのだが…

キラはクラスの出し物のお化け屋敷で仮装し
暗幕に覆われた室内で脅かし役として客を待っているのだ

狐面を着用しているのは面会希望を出してきたような子が来た時に騒がれたくない為顔を隠しているのだが
効果は抜群で、暗がりと言う事もあり
全くキラだとバレて居なかった

しかも終始無言で墓石に座っているだけで勝手に驚いてくれるのだ


「キラ、休憩時間だ
交代する」

「アスラン、ありがと
じゃ宜しく」

ぼんやりしていると同じような姿のアスランが現れる

「なんだ、もうそんな時間かよ
キラ、戻ったら女子部のオススメ教えろよ!」

「はいはい、じゃ、お先」

近くの井戸から顔を出して告げるディアッカに笑いながらその場を後にする


宣伝も兼ねてそのままの服装でカラコロと下駄を鳴らしながら
脇目も振らず女子部、ラクスのクラスへと向う

昨夜のメールで聞いておいた場所を脳内でもう一度確認しながら女子部の校舎に入る

「え?うそ…あれ、キラ君じゃない!?」

歩くのに邪魔だからと狐面を側頭部にずらした途端ヒソヒソと注目を浴びる

やはり顔を隠しておいて正解だったな、と納得しつつ
特に構いもせずに一直線に向う

「おい!聞いたか!?
和風喫茶やってるクラスにめちゃくちゃ可愛い子が居るんだって!!」

「マジかよ!?行こうぜ!」

駆けて行く男達の会話にラクスの事?と思ったが
調理担当で接客はしないと言っていたから違う子だろうと一人納得する

確かラクスのクラスには可愛い子が多いってディアッカとミゲルが騒いでたな…なんて思っていると
擦れ違った女の子と肩がぶつかり慌てて謝罪を告げる

「キャー!!」

「し、写真撮らせてください!!」

女の子が顔を上げた途端歓声と共にカメラを構えられ
しまった…と若干後悔する

「ごめん、待ち合わせの約束してるから…」

逃げるようにその場から立ち去りようやくラクスのクラスへと到着する


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