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□【恋に頑張る10のお題】Side−K<完結>
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10.ドキドキが止まらないけど、思い切って告白


呆然と、小さくなるラクスの後ろ姿を見つめる

小さな体は簡単に人混みに紛れて消えた


「…え…今、の…」

抱きしめて嫌悪の表情は浮かべては居なかった筈だ

頭が混乱して思考がまとまらない

だけど、とりあえず追いかけなくては、と漸く思い立ち
その場から移動する

作りは似ていても教室の配置の違う女子部

何処が空き教室なのかとか全然解らなくてさ迷ってしまう

「っくそ…何処に行ったんだ…」

恐らく、校舎からは出ないだろうし男子部には行かないだろうと判断し
女子部の校舎をしらみ潰しに確認する

頭に乗せた狐面が邪魔で仕方なく手に持ち走り回る


「ラクスが行きそうな場所…
隠れられそうな……」

カラコロと下駄を鳴らしながら走る

「…図書室!!」

いきなり、脳裏に生徒の休憩所として図書室を開放するといった話を思い出して
反対に向かっていた体を無理矢理反転して駆け出す

何度か人にぶつかりそうになりながらも
図書室への渡り廊下がある階に移動すれば
一般開放されていないせいかシンと静まり返っていた


階段の踊り場で別世界と区切ったかのように
お祭り要素皆無な廊下を走る


図書室の扉を開け、パッと見は誰も居ない静かな室内

だけど真っ直ぐに何時もの指定席に歩を進める


静かな室内にカラコロと下駄の音が響く


そこにはやはりラクスが居て
何時も僕が座っている方の席に腰掛けていた

「っはぁ…ラクス…」

「ヤマト、君…」

顔を反らそうとするラクスの顎に手を添え無理矢理上げさせる

じっと見つめると戸惑いの中に微かに恐怖が混じっているのが解り
少しでも距離が近付いたと思った自分の自惚れを呪いながら
そっと手を離した

「…ごめん、付きまとって、迷惑だったよね…
ラクスがそんな事言えないもんね…」

目を瞬かせるラクスに苦笑を浮かべながら、続ける



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