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□【恋に頑張る10のお題】Side−K<完結>
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02.どんな人が好みなの? 貴方の好みに 近づきたいよ


電車で助けてから数日

あれから何の進展も無し

名前を知らないから面会希望も出せないし、電車で探しても見つからないから
痴漢の恐怖から女性専用車両にしたのかもしれない

もう会えないんだろうか…と落胆していたが、ふと思い出す

自分は図書室で何度か彼女を見ているじゃないか、と

思い立ったが吉日、とその日の休み時間に中央図書室に向う

彼女に会えなくても、図書委員に名前くらい教えて貰えるかも、と期待して行けば
閑散とした室内には彼女の面影は無かった

やっぱり人生甘くないか、と肩を落としつつ図書委員に話しかける

「桜色の髪で…眼鏡かけてる女の子なんだけど…」

「桜色の髪で…眼鏡…
あぁ、毎日来てるよ」

「え!?それ本当!?」

じゃあ今日はたまたま居ないのかと落ち込む前に天井近くまである本棚を指差す

「あそこの影に、一個だけ他と離れた席があるんだよ
いつもそこで本読んでる
さっき来たばっかだからまだ居るんじゃないか?」

ありがとう、と告げ足早に本棚に向う


ヒョイ、と覗き込めば確かに一つだけ席があった

そこに彼女は居た

窓からの光を浴びて桜色の髪を三編みにし
分厚い眼鏡で分厚い本を読んでいる

柔らかな笑みを浮かべながら楽しそうに本を読む彼女は神々しくて息を飲んだ

その視界に入りたくて近付いたけれど全く気付かない

カタン、と音をたてて椅子を引いて正面に座れば
ようやく気付いたのかゆっくりと顔が上がった

そして驚愕に目を見開き固まる彼女

「こんにちは」

出来るだけ、警戒されないように気をつけながら挨拶すれば俯いてしまう

せっかく視界に入れたのに直ぐに反らされてしまった


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