‡Title

□【恋に頑張る10のお題】Side−K<完結>
9ページ/31ページ


チャイムが鳴ると彼女は慌てて貸出しカードを取り出して名前を書いていた

慌てて記入される名前を見詰める

彼女の手がサラサラと滑らかに動き
丁寧な字で学年、組そしていよいよ名前が書かれる

【女子部2-1ラクス・クライン】

その字を目に焼き付けるように凝視した後は
口の中で何度も名前を反芻して脳に叩き込む

彼女が貸出しを済ませるのを待って一緒に廊下に出る

左右に別れるから、と会釈する彼女に慌ててまた明日、と告げる

キョトン、とする彼女に『さっきの本気だったんですか?』とか言われたらどうしよう、と
ドキドキしていたら、小さくコクン、と頷いてくれた

良かった、と思いながら背を向ければクン、と裾を引っ張られる
何事かと振り返れば彼女が裾を掴んでいた

「あ、明日…明日、は…その…」

目線を泳がせながら話す彼女にまたドキドキする

「貴方でも、楽しめそうな…優しい本…用意、しておきます…」

頬を赤らめてふわり、と笑う彼女に一気に心臓が早鐘を打った

「っ!?…ありがとう、ラクス・クラインさん
また明日ね」

嬉しくて笑顔で返せばまた真っ赤になって俯いてしまった

次は移動教室だから戻らねば、と名残惜しいが教室に向かった

あぁ、明日が待ち遠しいなぁ、なんてついにやけるのをガマン出来なかった


next
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ