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□【恋に頑張る10のお題】Side−K<完結>
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チャイムが鳴ると彼女は慌てて貸出しカードを取り出して名前を書いていた
慌てて記入される名前を見詰める
彼女の手がサラサラと滑らかに動き
丁寧な字で学年、組そしていよいよ名前が書かれる
【女子部2-1ラクス・クライン】
その字を目に焼き付けるように凝視した後は
口の中で何度も名前を反芻して脳に叩き込む
彼女が貸出しを済ませるのを待って一緒に廊下に出る
左右に別れるから、と会釈する彼女に慌ててまた明日、と告げる
キョトン、とする彼女に『さっきの本気だったんですか?』とか言われたらどうしよう、と
ドキドキしていたら、小さくコクン、と頷いてくれた
良かった、と思いながら背を向ければクン、と裾を引っ張られる
何事かと振り返れば彼女が裾を掴んでいた
「あ、明日…明日、は…その…」
目線を泳がせながら話す彼女にまたドキドキする
「貴方でも、楽しめそうな…優しい本…用意、しておきます…」
頬を赤らめてふわり、と笑う彼女に一気に心臓が早鐘を打った
「っ!?…ありがとう、ラクス・クラインさん
また明日ね」
嬉しくて笑顔で返せばまた真っ赤になって俯いてしまった
次は移動教室だから戻らねば、と名残惜しいが教室に向かった
あぁ、明日が待ち遠しいなぁ、なんてついにやけるのをガマン出来なかった
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