‡Title
□不良の彼で5題<完結>
2ページ/13ページ
おかげで煙草の不味さを知った
チャイムが鳴り学校全体が静かになる
授業が始まったのだから当然の事だった
この時間、校庭で体育の授業は無いらしい
ぼんやりとそんな事を思いながら教師が黒板に記す内容をノートに写す
彼はまた何時もの場所だろうか…
そう思ったらいてもたっても居られなくなって、授業に身が入らなくなった
まだ始まって十分も経っていない
終了のチャイムまで待ってられない、と思ったらパタパタと机の上を片付けていた
口元を抑えながら、弱々しく、ゆっくりと立ち上がれば教師が振り返る
「ん?どうした、クライン」
「…申し訳ありません…
少し、吐き気がするので保健室に行って来ます…」
「そうか、無理だったら直ぐに早退しろよ?」
「はい…」
弱々しく頷けば教師はまた板書に戻る為に背を向けた
そのまま教室を出て、保健室のある一階では無く真っ直ぐに屋上へ…
立ち入り禁止の札を通り過ぎて、ポケットから鍵を取り出す
彼が自分の分と合わせて作ってくれたのだ
鍵を開いて、扉を開ければ青空が広がっていた
屋上のタイルに足を下ろすと扉を閉め、シリンダーを回して鍵をする
扉の脇にある手すりに手をかけ、慣れた動作でよじ登る
下に人が居たらスカートの中が丸見えだなぁ、なんて暢気に思いながらヒョッコリと顔を出せば
お目当ての人物がプカプカと煙を吐き出しながら
仰向けに寝転がり流れる雲を眺めていた
「制服が埃だらけになってますわよ?」
「……ラクス…君、授業は?」
顔の横に膝を抱えてしゃがみ声をかければ
こちらには視線を向けずに呆れた声が返って来た
.