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□不良の彼で5題<完結>
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おかげで煙草の不味さを知った


チャイムが鳴り学校全体が静かになる

授業が始まったのだから当然の事だった

この時間、校庭で体育の授業は無いらしい

ぼんやりとそんな事を思いながら教師が黒板に記す内容をノートに写す

彼はまた何時もの場所だろうか…

そう思ったらいてもたっても居られなくなって、授業に身が入らなくなった

まだ始まって十分も経っていない

終了のチャイムまで待ってられない、と思ったらパタパタと机の上を片付けていた

口元を抑えながら、弱々しく、ゆっくりと立ち上がれば教師が振り返る

「ん?どうした、クライン」

「…申し訳ありません…
少し、吐き気がするので保健室に行って来ます…」

「そうか、無理だったら直ぐに早退しろよ?」

「はい…」

弱々しく頷けば教師はまた板書に戻る為に背を向けた

そのまま教室を出て、保健室のある一階では無く真っ直ぐに屋上へ…

立ち入り禁止の札を通り過ぎて、ポケットから鍵を取り出す

彼が自分の分と合わせて作ってくれたのだ

鍵を開いて、扉を開ければ青空が広がっていた

屋上のタイルに足を下ろすと扉を閉め、シリンダーを回して鍵をする

扉の脇にある手すりに手をかけ、慣れた動作でよじ登る

下に人が居たらスカートの中が丸見えだなぁ、なんて暢気に思いながらヒョッコリと顔を出せば
お目当ての人物がプカプカと煙を吐き出しながら
仰向けに寝転がり流れる雲を眺めていた

「制服が埃だらけになってますわよ?」

「……ラクス…君、授業は?」

顔の横に膝を抱えてしゃがみ声をかければ
こちらには視線を向けずに呆れた声が返って来た



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