*小話

□うたた寝すやすや。
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それにしても、こんなに起きないのは珍しい。
天下の軍神、上杉謙信様なのだから、きっと気を張り詰めていて、何か気配がしたらすぐに起きる筈。

私がこんなに近付いてもお起きになられないなんて…。





「……私には、気を…許してくださっている、ということでしょうか?謙信様……」







そうだと、良いな。



自然と口角が上がってしまう。
再び謙信の顔を覗き込むと、何だか気恥ずかしくて、かすがの頬が再び赤らんだ。





「謙信様…」





何だか、動悸が激しくなってきた。


謙信様のお顔がこんなに近くにある(近付いたのは自分だけど)。




それだけで、もう。





ドキドキ。どきどき。




自分の心臓の音がやけに煩い。
頭がぼぉっとしてきた。



どうにも抑えられなくなり、より一層謙信の顔に、彼女は自分の顔を寄せた。


お互いの吐息が感じられそうな距離で───









ちゅ。









頬杖をついていない方の頬に、そっと口付けを落とした。




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