小説

□Miracle Moon 〜Last miracle〜
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【1】

星夜が再び俺の元を離れてから、ほぼ1ヵ月が過ぎた。

夜の心地良い風が、秋の訪れを告げている。

俺はそれを、部屋の窓を開けて感じ取っていた。

・・・今日も良い夜だな。

夜空を眺めて思う。

月が、綺麗に浮かび上がっている。

「星夜・・・」

月を眺めると、いつも思い出す。

俺の身に起こった、2度の素敵な奇跡を。

そして、期待してしまう。

今度の満月の夜、再び奇跡が起こってくれることを。

―コンコン―

ドアをノックする音が響いた。

「入るわよ?」

ドアが開き、母さんが姿を現した。

「まだ寝ないの?」

優しい口調だった。

けどそれは、『もう寝なさい』を意味している。

だけど俺は、夜空から視線をずらさない。

「もうちょっと、こうしてる」

窓の外を眺めながら答えた。

母さんは、『そう』と言って部屋から出て行こうとした。

そんな母さんに、ふと話しかけてみる。

「あのさ・・・」

母さんは足を止め、振り返った。

「どうしたの?」

「また、星夜は戻ってきてくれるかな?」

俺は、何気なく問いかけただけだった。

今思えば、全てはここから狂い始めたんだ。

だって、母さんの答えは・・・





「セイヤ・・・って、誰?」


 
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