Boy's Love.[短編倉庫]

□他
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「あ〜あ…バレちゃった。」
 ひっぱたかれた頬を手で摩りながら、満月を見上げた。
「――あっ…!」
 後ろから、男性の声が聞こえ反射的に振り返り、姿を確認する。
 あぁ…、確か六角の……。
 相手を認めると、どうアクションを起こすべきか、言葉を頭の中で必死に捜す。
 相手の顔をジロジロと見つめているのを隠しもせずに、思案する。
 ――…よく見ると、綺麗な顔立ちしてるんだなぁ…。とか、訳のわからない事を自分の意思とは別のものが働き、グルグルと身体中を廻る。
 見つめる目の意味が変わったのが、伝わってしまったのか居心地悪そうな顔を、更に歪め顔を伏せ何かいいたげに、口をパクパク動かすと、伏せた顔を上げ口を開いた。
「あ、あの…!俺、言いませんから!!」 どうやら、変わってしまった視線の意味をわかっていなかったらしく、少し焦ったように声を張り上げる相手に対しての感情よりも、もしかして心を見透かされたのでわ?と考えた、自分に笑いが込み上げた。
「‥えー!信じられないなぁ〜‥。――しょうがないから、えっと‥天根ヒカル君‥‥だったよね‥!俺がちゃぁんと、信じるまで‥君の時間を貰うよ?
えーと‥あ、あそこのファミレスにでも付き合ってもらおう。」
 にっこり笑いかけてやると、ヒカルは名前をいい当てられた事と、それで信じてくれるのに喜んだらいいのか、それとも、帰る時間が更に遅くなって仕舞うのに、嘆けばいいのかわからずに曖昧に苦笑のような笑みをみせた。
 ――俺ってやっぱりラッキー
たまには、ひっぱたかれるという貴重な体験も悪くないね‥。な〜んてね。


―――

一目惚れって初めてかも。


 
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