拙作、小説

□お題ショート[09年3月]
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お題:時計、切符、ヒトデ、空、メガネ、CD

【無気力と食欲】

 起きると昼だった。
 南側の窓。空高くに太陽が輝いている。
 急いで跳び起きてメガネをかける。
 アラームを午前7時にセットしておいた目覚まし時計の針は、縦一直線で止まっていた。電池が切れたようである。
 完全に遅刻だ。寝過ごした。
 この切符も、もうただの紙切れでしかない。
 今日は列車を乗り継いで遠くまで一人旅しようと思っていたのに。
 すべての気力を失った私は、無意識に、好物のおっとっとを手に取り、
「ヒトデ……」
 ただそうつぶやいて、星型のそれを口に運んだ。
 かりっかりっという小気味よい音とともに、空腹が満たされてゆくのだった。
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