†蓮の沼
□新しいキミのために
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季節は2月下旬。
冬の寒さが和らぐこの季節、キノピコにはある重大イベントが迫っていた。
それは卒業式。
キノピコはもうすぐキノコ中学を卒業する。キノピコの学年はみんな卒業のことについて話していた。
話の内容は大きく2つに分けられた。
一つは卒業旅行はどこに行くか、早く授業が終わってほしいなどといった卒業式が早く来てほしいという話題。
もう一つは、友達と離れたくない、もっと部活や授業がしたいといった、卒業したくない、まだ学校にいたいというような話題だった。
キノピコの気持ちは限りなく後者だった。
中学生活は友達とのふれ合いや部活など、これ以上ない楽しい時間であふれていた。
もちろん辛いことも沢山あったが、それらも振り返ればいい思い出になった。
卒業式を迎えるということはこのかけがえのない時間を失うということ。
友達とは進路が別れてしまい、部活に熱中した時間も、時には退屈だと思った授業も二度と来ない。
キノピコはそれが怖くて仕方なかった。
授業が終わり、1日が終わってく度にその恐怖と悲しさは増していった。