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□隣同士がいちばん自然
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恋人同士じゃないのに関係をもっちゃったアレティエ
アレルヤ視点












こういう事は軍の中ではよくあることだよ、とこの関係をもった当初自身が言った言葉が唐突に思い出されて、アレルヤは一人胸を痛めた。
自業自得だった。

ふた月前。ティエリアに寄せる恋心に気付いたアレルヤは、ティエリアにこの思いが通じずとも折角好きになったのだからと、普通の人みたいに普通の片想いをしようと心に決めた。
“普通の人みたいな普通の片想い”それは存外に甘い響きで、それを始めた頃はティエリアと話すだけで浮足立つ気持ちや会えない時間にティエリアは何をしているのだろうと無意識に考えてしまう思考、ティエリアと共に地上降下を言い渡されただけでスメラギに感謝してしまったりと、そんな自分に浮かれもした。こんな自分でも、普通の恋愛が出来るのだと言う事実に感動していたのだ。

しかしそれは、長くはもたなかった。
戦況が悪化し生命の危機に瀕すると、ミッション終了後酷く心がすさみ、荒ぶるようになったのだ。記憶にあるその日も、最近集中力散漫だとティエリアに説教されているところだった。
きっと、場所がまずかったのだと思う。普段ならブリーフィングルームや待機室でそういう話を持ち出すのに、その日はアレルヤの私室の前だった。もちろん部屋まで入ることはしなかったけれど、わざわざアレルヤの部屋まで出向いての説教タイムだった。
しかし、ティエリアの話なんて少しも頭には入らなかった。戦闘によりどうしようもなく気分が高まって、倦怠感で何もしたくない、聞きたくも見たくもない、五感全てが億劫だと思う一方で、目の前の想いを寄せるその人にこの気持ちをぶつけたかった。
ティエリアはきっとこの気持ちを理解出来ないだろう。それでも構わなかった。重要なのは、ティエリアならこの気持ちを発散することが出来るのだという事実だ。
戦闘直後でまだティエリアはパイロットスーツ姿で、アレルヤは気付かれないようにその輪郭を視線でなぞった。触り心地の良さそうな髪と同じ色のスーツはぴたりとティエリアの身体にフィットして、その線を露にする。自分より余程細い肩に、厚みのない胸、力を入れて握れば折れてしまいそうな腕や指、引き締まった腰。なぜ同性だというのに、これほどまでに目の前の生き物は繊細に出来ているのだろうかと、朦朧とする思考で考えた。
ああ好きだなぁ、とその時は思った。しかし、本当にそれだけだっただろうか?自分がその気を出せば目の前の弱い生き物なんて簡単に組み伏せられる。抵抗出来ないのを良いことに蹂躙できる。戦闘により失われそうだったこの命を、無理矢理にその身体に刻みつけることができる。――ティエリアの中で、アレルヤの存在が消えなくなる。
その事実に、その衝動に、勝てなかったことも、本当だろう?

ティエリアの深紅の瞳が見開かれる様子を、酷く冷静に見下ろしていた。誰かに抱き締められる経験など、なかったのだろう。そう思わずにはいられない程だった。ティエリアの動揺と抵抗は。
敵う筈がないと賢いティエリアなら分かっているのに、ティエリアは酷く暴れた。でも、それを妨げるのは容易だった。腕力で現状の優劣を押し付けた上で、言葉でもって屈服させるのだ。――君が身体を差し出せば、これ以降のミッションはもっと上手く進むようになるよ。僕はミッションの後毎回とても苦しいんだ。どうにかなってしまいそうな程高ぶっていて、これを発散する場があれば、次からのミッションに集中できる。
こういう事は軍の中では“よくあること”だよ。
女の子と関係をもてば後にしこりが残ることは多いけど、同性同士なら問題はない。何より子供なんて出来ないし、少しくらい部屋を行き来しても怪しまれない。ねぇティエリア、これはウ゛ェーダの為にもなるんだよ?君が僕を上手くコントロールすることで、ミッションの完成度が上がるんだ。それにきっと、君も日頃の鬱憤を発散できるんじゃないかな。

ここまで言って、ティエリアが反対するわけがなかった。何よりウ゛ェーダを愛するティエリアが嫌とはいえない状況だったのだ。
ティエリアは身体を許した。いや、“身体を差し出す”の意味さえ知らなかったようだから、本当にこれは一方的なものだった。ティエリアの必死に我慢しようとする健気さを利用して、その真っ白な美しい身体をこれでもかという程に味わい尽した。唇をつけていない場所など無いくらいに口付けを施して、身をすくませるティエリアの大事な部分を焦れる程ゆっくりと暴いた。涙を流すティエリアを慰めながらも、一方では指先で感じる初めてのティエリアの体内の温かさに感動さえ覚えた。そして、性交の意味も知らないティエリアの外気に触れたことのない蕾に押し入ったのだ。




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