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□愛を知らない恋人
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恋人未満。学パロ(刹那以外のマイスタ全員同じ学年です…無理ありすぎ)アレルヤ視点。








いつも教室にいてさえ一人で本を読み休み時間を過ごす麗人を、アレルヤは酷く気にしていた。
同じクラスになった時はそれはもうその整いすぎた容姿に驚いたものだが、しかし冷たく刺すような態度を、穏和なアレルヤはすぐに苦手だと思った。ああこの人は他人を見下すような人間なのだと、そう思ったのだ。

しかし、二学期も終わる頃の席替えでアレルヤはその人と隣同士になった。それからだ。彼――ティエリア・アーデに対する考え方が変わったのは。
他の生徒が途中で放って帰ってしまう掃除も一人でもくもくと最後までやり続けるし、それを同じ班だからと一緒に残ったアレルヤは驚いたように礼を言われた。アレルヤが授業中に教師に答えを求められ、しかし分からなくて固まってしまった上に課題を出された(苦手な数学の授業だったのだ)問題は授業が終った後に丁寧に教えてくれた。それに、図書室ではよく会った。試験前なんて閉室直前まで勉強をしているようだったし、何よりアレルヤとティエリアは好きな本の趣味が合うのだ。
君とは話が合うな、と言われた時は嬉しかった。ティエリアの笑顔を見て固まってしまったアレルヤになぜかティエリアは無理に話を切ってしまったけれど、それでも心が沸き立つようだった。言葉には表せないくらいに嬉しかったのだ。人が笑う顔を見ることが、そしてティエリアを少しでも楽しい気分にさせてあげられたことが嬉しくて(ああもう全部が嬉しいんだと思った。)

その日から堪らなくティエリアと仲良くなりたくて、でも笑顔を見せてくれた筈のその日から、なぜかティエリアは以前よりずっと冷たくなったように感じた。いや、勉強を教えて欲しいと頼めば快く引き受けてくれるし、図書室で会えば何を読んでいるのかと近付いてきてくれることもあるのだ。
それでも、決してティエリアはアレルヤと二人きりになろうとはしなかったし、アレルヤがティエリアに興味があることに気付いたのか友人であるロックオンが昼食に誘ってみたりしてくれたが、しかしティエリアはなぜか断固として断った。「君はきっとハレルヤは苦手かもしれないけど、刹那とは合うと思うよ。…それに、皆で食べた方が美味しいよ」そう言ってアレルヤも言葉を沿えてはみたが、しかしティエリアは首を縦にはふらなかった。
もっと仲良くなりたくて堪らないのに。ティエリアが毎日一人で昼食を食べるのも、休み時間を一人で過ごすのも、もう見て見ぬふりなんて出来ないのに。そうは思うが、しかし無理強いなんて出来ない。

そんな風に曖昧に過ごしているある日の放課後だった。普段ならさっさと帰りの支度を終え、バイトに一直線のロックオンがアレルヤの席まで寄ってきたのだ。

「なぁ、アレルヤ」

「ん、なぁに?今日はバイト休みなんだ?」

バイトが休みの日はアレルヤ達を誘って外食(最近はご飯お代わり自由のハンバーグの店が仲間内では流行りだ)に行くので、今日もその誘いかと思った。頭の中で素早く今日の予定を思い出す。花屋でしているバイト(ハレルヤには女みたいだからやめろと言われている)は土日くらいしか入っていないから放課後は大概が暇だ。
しかし、ロックオンがなぜか浮かない顔をしているのに気付いて、アレルヤは首を傾げた。

「いや、今から走って帰らないとやばいんだけどな、…あいつが、」

「え?誰?」

「お前の想い人だよ」

「えぇ!?僕はティエリアは友人だって…」

「………誰もティエリアだなんて言ってないけどな」


そのロックオンの言葉に、かぁ、と一気に頬が熱をもつ。無意識だなんて、重症だ。
まぁ良いけど、とロックオンが苦笑した。

「それより、そのティエリアって、ああいう輩とつるんでたか?」

ロックオンの指さす方に視線を巡らせれば、確かにティエリアが教室から出て行こうとしている。それも、今日は一人ではない。

「誰?あの人たち…」

いや、クラスメイトだから名くらいは知っているが、しかしほとんど話したことがない。
それに、

「俺やアレルヤの誘いは断って、あいつらとつるむ事にしたのか?にしても趣味悪いな。アレルヤの話に頻繁に出てくる実は性格が良いティエリアがさ」

「うん…」

確か、前にハレルヤが一緒にいるのを見たことがある。あいつら根が腐ってんぞ、なんて言って付き合うのを(ハレルヤでさえ)やめたくらいだから、あまり良い連中とは思えない。

「ティエリアに悪い影響がないんなら良いんだけど…」

「母親みたいだなお前…。」

呆れた顔をするロックオンさえ気にならない(恋人にも友人にもなれないなら母親で良い)どうすんだよ、と言葉をかけてくるロックオンを遮って、ハレルヤがアレルヤの名を呼んだ。




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