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□愛を知らない恋人
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そのアレルヤの言葉に、ティエリアが表情を曇らせる。ばっ、と外された腕を、アレルヤは今度は追うことをしなかった。
だって、悲しすぎるから。誰からもその容姿だけで愛されるが故に、本当に愛されたことがないなんて。今まで、本当のティエリアを誰も探してなんてくれなかったのだ。

「こんな馬鹿らしいことを言ってどうなるというんだ!第一、言う相手なんていないし、こんなの平気だ。今回だってちゃんと、」

何もなかったことに出来る。吐き捨てるようにそう言うティエリアに、アレルヤはそっとティエリアの手を取った。怪我をして腫れた赤い手首が白い肌に映えて痛々しい。

「………君は、気付いてたんだね」

「なにがだ」

僕が、君を好きになりかけていることをだよ。そうは言わずに、アレルヤは悲しくてどうしようもなくて、瞼を下ろした。
ティエリアはアレルヤに好意を寄せられることを畏れたから、距離をあけたのだ。

(ティエリアに告白したかった。今じゃなくても良い。ずっと先でも良いし、明日でも良い。とにかく、気持ちを伝えたかった。好き。好き。大好き)

でも、君が悲しむくらいなら、自分が悲しもうと思うから。


(好きだよ、ティエリア、)

「じゃあ、僕、君のこと……きらいに、なるから。だから、優しくするくらいは、許してよ」

(もうとっくに、愛してるんだ)

「………アレルヤ」

好きと言う前に嫌いと言わなければいけないことが悔しい。もうどうにもならないから更に。

「君を助けてあげたいって思うことを、許して。何の見返りもなしに、君のことを思う人間がいるんだって、気付いてよ」

アレルヤが途切れ途切れに言った言葉に、ティエリアは瞳を伏せた。長い睫が白い頬に陰をつくる。

「……じゃあ、保健室へ、連れていけ。腕の手当てもしろ。それくらいは出来るだろう」

「…!ティエリア!」

「それから、俺はお腹がすいた。何処かに食べに連れていけ」

「うんうん!手当てもきちんとするし、何処にでも連れて行ってあげるよ!お金だって僕が出すから!」

「そこまでするな」

つんとした態度だって嬉しい。手遅れだなんて、その通りだ。

「それに、…明日から、昼食をお前達と食べてやってもいい。また馬鹿なことをする輩がいたら、お前がどうにかしろよ」

「勿論だよ!喜んでどうにでもするから!!」


なんだそれは、とティエリアが苦笑する。やっぱり、ティエリアの笑顔はきらきら輝いて見える。
ほら早く行くぞ、とティエリアが呼んだ。手を離して、さっさと歩いて行ってしまうかと思えば、くるりとティエリアが振り替える、

「ああそうだ、言い忘れていた。…君に、…アレルヤに嫌いだと言われるのは不愉快だから、もう言うなよ」

そして前を向き、ティエリアは保健室への道を歩き出す。

「…っ!」

君の細い背中に後ろから抱きついてしまいたい。
すごく好きだ。大好き。
君に、できるなら他の誰でもないこの僕が、腕に抱えられないくらいの愛を、教えてあげたい。







愛を知らない恋人





―――――――
恋人になってないとか、お題無視も良いとこですね^^口に出せないからってアレルヤが心中で好き好き言いすぎですwww
でも綺麗すぎるティエリアは誰にも好かれそうだけど、容姿だけで好かれてそう。



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