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□僕にも笑って
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恋人未満アレティエ+ニール
気持的にはティエ←アレ←ニルなので、ニルアレが少しでも苦手な方はバック推奨!(管理人の偏った趣味なので、ニルアレ要素は少なめにした…はず。)
アレルヤ視点。










伏せていた長い睫毛が持ち上がり、大きなルビーの瞳がアレルヤの姿を捕える。それだけの動作で、アレルヤは(あぁ、今日もとびきり綺麗だ)なんて思うのだ。ある意味での同僚であるティエリア・アーデを見て。

「え、と…前の席、あいてるかな?」

恋愛は勢いだ、とハレルヤが言っていた。接近するのも、果てはフラレるのも。こんなにも大好きだと思うティエリアに嫌われるなんて考えたくないけれど、ハレルヤの言っていることは正しいと思う。
放っておけばうじうじと卑屈に考えてしまうアレルヤと、マイスター同士が恋愛をするなんて考えたこともないだろうティエリア。この二人が上手くいくのに大切なのは、やっぱり勢いだ。

食堂で夕食をとっていたティエリアは、何かを探るようにしてアレルヤの顔を見た後に、小さく「かまわない」と言ってくれた。
それだけで、アレルヤは自分が高揚するのをまざまざと感じた。

いそいそと、手に持ったプレートをティエリアのプレートの前に置く。椅子に座り不審に思われない程度に前方を覗き見れば、先程よりもティエリアが近い。
視線を伏せ、さも面倒だと言う風に一定の間隔で食べ物を口に運んでいる。食物ごとに噛む回数が決っているのではないか、と思うほどだ。しかし、皿の横に寄っている食べ物を見て、アレルヤは苦笑した。相変わらずだ。

「ねぇティエリア、しらすは良いとして、野菜は食べた方が良いよ」

「…なまくさい」

「生き物の形があるわけじゃないんだしさ。栄養剤とるよりずっと良いから」

「………」

む、と苛立つ雰囲気のティエリアが上目にアレルヤを睨む。アレルヤは困ったように眉根を下げた。

「…君と食事するのは、これだから、」

嫌いだ、とは言わなかった。その代わり、ニンジンにぷすりとフォークをつきたて、口に放り込む。小さな形の良い唇に見惚れそうになりながら、(僕はとっても好きだよ、ティエリアとの食事)とアレルヤは思った。普段から、ミッション中とか訓練中とか、いつだって迷わないティエリアに引っ張ってもらっている気がしているから、食事中はとても新鮮なのだ。
できるならば、食事以外にも私的な時間を共有したいと、アレルヤは日頃から思っていた。そうすればきっと、もっと沢山ティエリアを知れる。

「美味しいかい?」

「不味いに決まってる」

「…じゃあ、ねぇ、今度一緒に地上へ行かない?」

「…は?何故そうなる」

ティエリアが地上という言葉に嫌な顔をしたから、アレルヤは自分のプレートについていた本日のデザートであるコーヒーゼリーをティエリアの方に押し寄せた。あげる、と言えば、ティエリアの機嫌が上昇するのを知ってる。地上の話に付き合ってくれるくらいには。

「ご飯をさ、食べに行こうよ。地上の飲食店ならトレミーと違って、ティエリアがその時食べたいものを食べることが出来るよ。デザートも一日一個じゃないし」

「……」

まだ食事が終っていないのに、ちゃっかりコーヒーゼリーを食べ始めているティエリアが考えるような仕草を見せた。
何を考えているのだろう。デザート食べ放題のことだろうかと思うと、なんだか少し虚しかった。アレルヤ自身は本当は美味しいご飯もデザートもどうでもよくって、一番大切なのはティエリアと二人でいることなのだ。それなのに、そう言えない自分が嫌だった。
ティエリアが答える前に、食堂の扉が開く。
目が合った瞬間によう、と楽しげに話しかけてくるのはロックオン・ストラトスだ。こんにちは、とアレルヤが返すより早く、ティエリアが唐突に席を立った。

「…俺はこれで、失礼します」

そう言って、ティエリアがプレートを持って立ち上がる。慌てたのはアレルヤだ。さっきまで美味しそうに食べていたデザートも食べかけだし、食事もまだ途中だ。なにより、会話の返事が聞けていない。
自分も立ち上がり、ティエリア、と声をかける。

「さっきの、返事、」

「そこに立っている男と行けば良いだろう。……デザートくらい、俺一人で行くから結構だ」

そう言って、完全に背を向けられてしまった。
違うのに。そうじゃないのに。確かに、飲食店には一人でいける。でも、ティエリアがいなきゃ楽しくも何ともないのに。

「なんだ、何の話だ?デザート?」

自分のプレートを持ったロックオンが側に立っている。ティエリアのことは諦めて、アレルヤは席に戻る。自然な動作で、ロックオンもアレルヤの前――先程ティエリアがいた場所に腰を下ろした。



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