睡眠御膳
□触れ合い
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俺の頬に手を添えて、顔を近付け、その瞳で俺を見る。
正確には俺の瞳を。
まばたきせずに見つめるものだから、俺も出来なく、胸がウルサイ。
でも所詮、その動悸の激しさは俺の一人よがりで
貴方が見ているのは、俺と同じ瞳をした……
『誰を……見ているんですか』
そう言えば、貴方の目は少し見開いて、俺から目を離した。
「何の事だ……」
口調だけ尖っていて、あとは何も感じさせないそぶりだった。
『別に。言いたくないなら構いませんけど………』
そこで言葉を切り、砕蜂隊長の顎をつかみ、強制的に目を合わさせた。
「何のつもりだ」
俺は笑いながら先程の貴方の言葉を紡ぐ
『何の事でしょう?』
「ふざけるな」
『誰もふざけてなんていませんよ。俺はいつでも本気です』
それでも貴方は俺を見てくれない。
その瞳の奥に俺を映してくれない。
この感情を何と呼べばいいんだろう。
悲しい?寂しい?
ああ、もしかしたら虚しいのかもしれない………
砕蜂隊長の顎から手を離し、一言だけ貴方に届くように祈りながら呟く。
『たまには俺を見て下さい』
貴方の一人よがりの感情を俺にぶつけるなら、俺も貴方にぶつけます。
所詮只の一人よがりなのだから
終