よろず・しろ

□のんびり日和
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※夢主の名前は固定です。













ふらふら、ぷらぷらと白い髪を揺らす少年が一人。

休日の学園内は人気が少なく、目立つ赤目も気にする事なく散策出来る。



『あ、クロさん。こんにちは』

(シロっ、いい天気だな〜)


『そうだな』


少年が尾が二本の猫の顎下を撫でると、猫はぐるぐる唸りながら寝転んだ。











黒猫との日向ぼっこを終えて、次にふらつくは、


『こんにちは、しえみさん。にーちゃんさん、いい天気だな』


祓魔屋。




「シロ君っ、こんちには!」

「にーっ!」


『ん。』



緑豊かな庭を持つ、店。

豊かなのは緑だけじゃなくて色々と。


「今日はどうしたの?」

笑いかける少女に、淡々とした表情の少年。


『散歩』


「散歩かぁ、いいね〜。あっ、シロ君。ハーブティいれたんだけど飲む?」


『飲む』



普段は隠している少年の尻尾が揺れた。








場所は再び学園側の公園。

お茶を飲んでお菓子を食べたので空腹ではないが、何かしら食べようかと思ってふらついていると。


「ぴょーん」

『あ、アマイモンさん』


いきなり上から地の王が降り、少年の背中に乗った。


「何してるんですか?」

『散歩です』

「…退屈ですね。シロ。遊びましょう」
アマイモンから、ざわざわと邪な気が立ち込める。



『それより、爆弾焼き食べしょう』


「………そうですね。お腹減りました」


『アマイモンさん。ヨダレ、ヨダレっ』



少年が慌てて、アマイモンを背中から剥がそうとするが叶わず、そのまま爆弾焼きを出す出店まで歩く事になった。


「爆弾焼きはやはり素晴らしいです」

『同じく、ベヒーモスさんも、どうぞ。』


肩車状態で食べる事になり、アマイモンさんペットはわざわざあげる必要もなく、主人が落とす食べかすを嬉しそうに食していた。









『………臭い』


アマイモンと別れ、再び歩けば、服や髪から何とも香ばしい匂いが立ち込める。



『……んー、』


どうしたものか考えていると後ろから元気が良い声がした。


「おっ、シロじゃん!何やってんだ?」

『燐さん。こんに…今晩は』


「おー、ちぃっす。また散歩か?」


『ああ。あ、燐さん丁度良かった』


「ん?」





少年のお願いに快く承諾する燐の姿が夕焼けに映えていた。










「兄さん、ただいま。」

『あ、雪男さん。お帰りなさい』

「シロさん!?どうしてここに?」

玄関の扉を開ければ、風呂上がりの恰好をした少年がいた。
無表情の顔とは別に、尻尾は上機嫌そうに揺れていた。

『風呂に入りたくて。丁度燐さんが通りかかったから風呂掃除と引き換えに貸してもらった。
という訳で、雪男さんお湯まだ温かいのでどうそ』

「あ、はい。…有難うございます」

雪男が靴を脱いでいると、奥から兄の声がした。

「雪男ー、飯の準備まだだからゆっくり入ってていいぞー」

(どこのお母さんだ…)など内心思いつつも着替えを用意しようと部屋にむかった。



少年は食堂に向かい、何か手伝いはないかと燐に声をかけた。


「んー、ねえな。片付けなら助かるけど、
…あ、じゃあさ。クロと遊んでてくれよ。
あいつ飯の匂いがするとすぐ食べれると思って寄ってくるんだ」

『分かった。』


少年が黒猫がいる外に出ると、すぐに騒がしい音が聞こえた。
恐らくクロが大きくなって取っ組み合いでもしているのだろう。

「手伝わなくても、飯くらい食わしてやるのになー。」

文句ではないが、食卓に人が増えるのは何とも言えない気分になる。


「さてと、集中すっか」

包丁を握りしめ気合を入れなおす燐の姿が台所にあった。



少年の穏やかな休日はまだほんの少し続く。



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