よろず・くろ

□皿喰いと大喰い
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(※食べる描写があります。)







































月が出ている夜は、

君と、

食事をしよう。




■皿喰いと大喰い■








一つ、ほんの一つ、
明るい道を逸れれば、それは、俺達の縄張り。



『………』

ビルとビルの隙間に入る人間を確認して。
頭上から追う。
悲鳴をあげるまもなく頂くけれど、
万が一も考え、もっと奥に進んでくれるように様子を見る。

進めば、喰う
戻れば、諦める

腹は減っているけれど、狩りは慎重に。
もし、白鳩なんて狩った日には………、
なんて思って昂る本能を抑える。





獲物は奥に進んだ。
よし、あいつが今日の食料だ。
罪悪感がない訳じゃない、
けれど、死にたがりな訳でもない。

生きるのに必要な量以外は食べない。
嗜好としては見ない。

それが、俺の喰種としての生き方。




食料に感謝をしながらビルから飛び降りた、

『……頂きます。』


そして、
最後には、



『……ご馳走さまでした』




跡形もなく食べた場所に残るは、血溜まりだけだった。



『………』



食べたのは、若い男性。
顔を見る余裕はなかったけれど、体格は中々バランスが良かったと思う。




男性の持っていた荷物を処分するために拾おうと身を屈めた瞬間、



「随分と、綺麗に食べるのね。貴方」



声が聞こえて。
嚇子が空から降ってきた。


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