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□暖かな昼下がり
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「なあ美堂ちょとでかけねぇか‥?」








●暖かな昼下がり●












空は晴れいくつかの雲が白を主張し浮かんでいた暖かな昼下がり。
士度に誘われ広い野原にきていた。


「んだよ猿回し…」
不機嫌な蛮。
「お前はたまには息抜きが必要だと思ってよ」
「…よけーなお世話だ」
相手の気遣いかゆそうにフイと横を向きながら煙草を胸ポケットからとりだした。

「今日は煙草はなしだ」

「あっテメ、なにすんだよ!返せ俺の煙草!」
ひょいと蛮の手に握られていた煙草を箱ごととりあげた士度。思わず士度を睨みつける。


「俺は帰る!「まーまてって」


予測していた行動に苦笑しながら蛮の腕を掴み、強制的にギャーギャーと子供のように後ろで抗議する言葉聞き流しながら行き先へと足を進めていった。







数分後――…









「ついた」
「……ぁ」




透き通った綺麗な泉。
泉を囲うように生えた背の高い木々。
木々の間から差し込む太陽の光達。




そんな光景が目の前に広がり思わず言葉を失った。








「綺麗だろ?たまたま動物達が教えてくれたんだよ」


「‥‥‥水が透き通ってんな」
「その水、飲めるぜ」
「ん」
士度の言葉を聞き興味本位で泉の前で膝をつき、両手で水をすくい上げゆっくりと飲む。






「…うめぇ」








「だろ?此処が水源となってこんなに木々達が育ったんだ」
側にあった木に触れ根から葉まで見上げながら目を細める士度。ふと蛮に視線やると興味深そうに木を見上げて木々の間をゆっくりと歩いていた。
葉の間から漏れた木漏れ日に目を細め、楽しそうに歩く蛮にいつの間にか見とれてしまう士度。





「…あったけぇな」
「…」
自然と微笑み浮かび士度の方を向いて言うも返答なく、ただ此方をみている相手に首を傾げる。

「猿回し?」
「あ、ああ、そうだな」

士度は思わずはっと相手に見とれてしまった事に気づき、内心動揺しながらも冷静を装うように小さく席払いした。
「あの泉に戻って少し休まねぇか?」
「おーそうだな」
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