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□charm eyes
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見えなければ、なにかかわるだろうか?
何もかもが嫌ならばいっそのこと見えなくなれば――
●charm eyes●
「ぐっ‥‥ぅあ」
衝動だった
自分でもわからなかった
ただ、無意識に右眼を……
真夜中、悪夢にうなされ起きた蛮は水を飲もうとコップを棚から取り出した刹那、するりと手からコップを落とし割ってしまった。
バラバラになったガラスを広い集めているその時、自分の腕が無意識に
――眼に。
「……」
ただ真っ赤に染まった手と床をぼんやりと眺めた。
痛みなどほんの一瞬。
「どうする…これ」
銀次がいなくてよかったと心から思う。こんな時、一番たよりたくないが役に立つ人物が思考をよぎった。
「ちきしょ…」
外は真っ暗な闇に覆われていた。
左眼を適当に洗い、タオルで止血しながらその男を探しに宛てもなく出てしまった蛮。
秋風が部屋着の蛮に容赦なく吹き付ける。
止血していたタオルはすでに真っ赤に染まっていた。片目ではバランスがとれず、ふらふらと歩き木に寄り掛かる。
「携帯繋がるか……?」
僅かな希望を持ち後ろポケットから携帯取り出してかける蛮。
トルゥゥゥ‥…
『―はい?』
「よぉ……今どこにいるんだよ」
『珍しいですね、美堂君から電話をかけてくるなんて』
その声はとてもうれしそうだったが蛮は無視して話を続ける。
「そんなことはどうでもいいだんよ。今何処って聞いてんだ」
だんだんと意識が朦朧とし視界もぼやけてきた。
『おや、元気がないですね?何かありましたか?』
「目、ガラスでやっちまった」
『!?美堂君今何処です?』
「えっ‥‥とな、たぶんここは…あれ、前が霞んで……わりぃ‥赤ば…」
赤屍の声がかすかに聞こえながらも、意識が遠退いていった――
「あなたってひとはどうしてこう……」
「あか‥ばね?」
「はい?」
目を開けると、あたりまえのように自分が寝る傍らへと赤屍がいた。
「………」
そんな赤屍を横目にいろいろと込み上げる感情にまとまりがつかず黙ってしまう蛮。
何故こんなことになった?
俺はどこまで弱い
「何故こんなことをしたんです?」
心を読んだかのようなタイミングの問いかけに思わず蛮の思考を遮った。