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□お年玉は誰のもの
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――元旦、

賑わう町から逃げるように蛮は一人裏新宿の路地を歩いていた。













●お年玉は誰のもの●












「ちっきしょー今日は元旦だっつーのになんだよあのさばよみ女!」
寒さに震えながら裏新宿横丁にある店へと入る蛮。





「おい、きてやったぜババア!」



『待ちわびたわよ蛮』



ぽうっと淡く椅子の上が光ったと同時




「あけましておめでとうっ!!!!!ばっん〜!!」




姿を表しひらひらとレースゆらしながら抱きついたマリーア・ノーチェス。
「んだよこんな時に呼びだしやがって…」
「そりゃあお年玉をわたすためだからに決まってるじゃないの〜♪はい、ばーんっ」
蛮に手渡したのはお馴染みの煙草マルボロ。



「さっきの一本で切れたんじゃないの?」

「おみとうしかよ」
相変わらずだな、とため息をつきながら新しい煙草の封を切り一本取り出してくわえた。


「…しっかし煙草一箱ぐらいで呼ぶんじゃねぇよ。つかフツーお年玉は金だろ!」
煙草に火を点けながら愚痴る蛮。そんな蛮をマリーアはニコニコと笑顔浮かべて見つめる。




「だってお楽しみはこれからですもの」




「は?…っ!?」
突然体が熱くなったと思えば蛮の意識はそこで途絶えた――‥




























「うっ‥ちっきしょー…マリーアのやつ煙草になに盛りやがった」
ふと気付くとマリーアの寝室のベッドの上。髪をかきあげながら起き上がる。




「か・わ・いーっ!大成功ねっ」
蛮の姿をみるや否や直ぐ様抱きつくマリーア。急に抱きつくマリーアに訳が解らず瞬き繰り返した。



「なにが大成功ねだっ!!!俺になにした!?」
「見ればわかるわよ」
ウインクしながら大きな鏡を蛮の前へと。





「!?」





鏡に映ったのは自分の子供頃の姿。
推定7、8歳だろうか。


「てめぇっよくもっ!!!!なにがお年玉だ!」
「わ・た・し・に・よっそれは今日一日は治らないわよ♪じゃあがんばってね」
トンと背中を押されたと思えばそこは誰もいないHTの中。








「…あれ?俺……夢でもみてたのか?」

何時もの情景に今までが夢に思えふと、カウンターの向こう側にある食器棚のガラスに反射した自分を見てみる。
ソコにはやはり子どもの姿が映っていた。




「さっ最悪だ‥‥‥」






「マスターこれはここにおいとくね」
「おう、わりぃな銀次」
扉の向こうから銀次と波児の声。

「やべっ」
思わず直ぐ様奥のボックス席へと隠れる蛮。




カランカラン♪

「たっだいま〜HT!」
銀次がいつもののりで店へと入っていく。
「おう。じゃあ夏実ちゃん達が帰ってくるまでには門松出しとくか」


「うん!確かあれはあそこの奥に――あれ?」



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