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「ねーマスター…俺っていつも一人だっけ?」
















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「?いつもお前一人でそこ座ってコーヒー飲んでるじゃねぇか」
コーヒーのいい薫りが漂う何時もと変わらぬ店内。
いつも通りカウンター席に座る銀次。


何時通りのはずが何かが足りず、何かが抜けたようにぼーっと頬杖ついたまま、疑問溶けず同じ問いかけを呟く毎日。





何かが足りない。
そんなもやもやが銀次をとりまいていた。






「マスターっこのコップ誰のですか?」
食器の整理をしていた夏実が少し埃を被っていたコップをマスターに見せる。
「む‥無敵の男蛮様専用…?」
夏実が持っているコップを覗き込んで書いてある字をレナが読む。


「蛮なんて常連に居たっけなー…?ンなことかく奴は覚えてると思うんだけどよ‥」

覚えのないカップに紫煙を揺らしながら首を捻る波児。



「蛮…?」



ぼんやり夏実とレナと波児の会話聞いていればふとなにかひっかかり、顔を上げてカップを見つめた。




「なんか心辺りあるのか銀次?」
「んーん‥。だけどよくその名前見るんだよねー…GetBackersの看板とかチラシとかスバルにつんでて蛮&銀次って書いてあったりしてさ…蛮って誰だろ」
「前組んでたんだろうな?顔も名前も全く覚えがねぇけど」
一人の“蛮”という人物が浮かび上がるも誰一人として記憶がなかった。





暫しの沈黙。





「俺、大事なものなくしちゃった気がする…大切な記憶がないからそこにぽっかり穴があいちゃって…」
視線伏せてポツリポツリと呟く銀次に小さくため息ついたマスター。


「お前なんのために奪還屋してんだ?」



波児の言葉にはっと顔を上げ小さく頷いた。






「マスターご馳走さま!俺パズルのピース探してくる!」
「おー最後までしっかり集めてこい」
「うん!」
コーヒー代をカウンターに置き、急いで上のベスト羽尾って店を駆けでた。
銀次の後ろ姿を見送りカウンターへと置かれた小銭の一枚を取る波児。





「確かに…なんか、違うな」
お金が置いてある違和感にピンッと音を立て上に上がる硬貨を見つめ呟いた。



「蛮、かー…」










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