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□What does God expect?
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俺は人と違う


物心ついた頃の俺はそれくらいしかわからなくて



紫の瞳も
魔女の血も
悪魔の存在も


受け入れられなかった。




真っ黒な神様に出会うまでは―…














 ●What does God expect?●














家族、と呼べる人から優しさをもらった覚えがない。


生きる為に必死に知識を身につけさせられ戦う毎日。





ホントは辛くて

つい堪えきれなくなった感情が唐突に溢れて来た。







「……っ、く」
「お前はまだまだ弱い。寂しさなどに負けてるようでは敵に背を取られるぞ」
「うっせぇ…ババア!あんたに何がわかるんだよ!!!」
「これくらいで反抗するのか?やはりお前は弱い。もっと強い意思をもたねば容易く心を奪われる」
「…ッ」




最もな事を言われてるのはわかってる


けど、悔しくて苦しくて血が滲む程強く唇を噛み締め、衝動に任せて家を飛び出してしまっていた。












無我夢中で森の中を走って、走って


いつの間にか知らない教会へと辿り着いていた。









「ここは…」


扉が少し開いていたためつい興味本位に一歩踏み出してしまう。
恐る恐る扉を開け中を除き込み、月明かりにうっすらと映し出されたステンドグラスの美しさに目を奪われた。




「綺麗…」



真っ暗な中に映える芸術。





サングラスを外してゆっくりと光の元へと行った。


淡い光が優しく俺を包んだ。その場に力なく膝をつきステンドグラスを見上げる。




どこか心地よくて

全て洗い流してくれればと


淡い期待に目を閉じた




















ここは、夢の中…?


「う、ひく…っ」

しゃがみこんで泣いてるのは誰?

「お前、誰?」
「ばん…」
「蛮は俺だ」
「俺も蛮だ…」



泣いていた少年は立ち上がり真っ直ぐ同じ顔を見る。



「何で泣いてたんだ?」
「母さんや父さんに会いたくて…だけど悪魔だって言われるの怖くて…でも誰かにギュってして優しく愛されたくて…」


「ヤメロ…」


また、ボロボロと涙を流し始めるもう一人の俺。
それでも尚、話を続けた。



「俺は悪魔なの?毎日毎日、必死に生きなきゃいけないの?闘って闘って…たくさんの人を殺さなきゃいけないの?」

「ヤメロォォオッ!!!」





目の前の少年を引き裂くと同時に真っ暗な闇から目が覚めた。






「…はっ、は」
「大丈夫ですか?」
「!!?!」

目覚めると知らない男が顔色を伺うように除き込んできた。思わず目を見開き振り払うように手を動かして後ずさる。



「誰…っ?!」
「怯えなくていいですよ…私はここで医者をしながら牧師をしてるものです」
「いしゃ…」
「教会の中で貴方が倒れていたのを見つけたのでとりあえず此方に運んできたんです。酷くうなされていたようですが…大丈夫ですか?」




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