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□腕
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今日は何故か身体が痛む。


そして呪われた腕が疼いて仕方がなかった。


血を欲するように。













●腕●

















全く治まらない疼き。





このまま堕ちて逝くのだろうか。


深い、深い永遠の闇に

堕ちたら俺は…






床へと崩れるように両膝をつき、まるでそこに心臓があるかのようにドクン、ドクンと脈打ち震える右腕をきつく握り締めた。



「くそ…っ」





早く治まれ。


早く。









必死に内心祈るしかなかった。


彼が帰る前に止まれと。










気付けば床に赤い染みをいくつも作っていた。
強く、強く握り締めたせいでもはや右手の感覚なく痛みなど感じない。

白い肌を更に死人のように青白くし、爪が食い込んだ腕からは溢れた赤いものが伝い床へと落ちていった。





何とか止まった疼きに肩の力を抜き溢れる血を舐めとり強く吸う。








いくら心を許した相手でも


いや、心を許したからこそ見せたくない。








地に堕ちた俺の



悪魔の姿











「…っ、止まんねぇ」


止まらぬ血に眉間にしわ寄せながら急いで止血し救急セットから包帯を取り出しガーゼの上から巻き付けた。
応急処置した後、徐にティッシュを幾枚も取り床を汚す血を拭いゴミ箱へ。






何とか片付けベッドへと身体を投げ出した。
ぼんやりと仰向けのまま右腕を上げて指の隙間から真っ白な天井を見上げる蛮。







「アイツどんな顔すっかな…」








この忌まわしき腕の本来の姿を見て


いつかこの腕にのまれ堕ちて逝く


全て、忘れて。









「……蔵人…」






体制を変え横になればベットの上で小さく丸くなり無意識に呟いていた。


大好きな人の名を。





目を閉じれば思いだす


優しい声、腕、微笑み。







思い出すだけで暖かい。


怖いくらいに。












ただ、夢で逢えればと淡い期待に目を閉じた――…














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