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□charm eyes
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「……」

弱い自分を曝け出すのが嫌いな蛮はやはり答えない。



「私は、あなたのその紫眼が大のお気に入りなんですけどねぇ」
「……ぅるせ。」
頬にそっと触れてきた手を避けるようにふいと横を向いた。

「おやおや。美堂君…頼みますから自分を傷つけないでください」
「え?なんでお前がそんなこというんだよ‥‥‥」






以外だった。



そんな言葉を掛けるヤツが。







「好きだからに決まってます」
嘘偽りなくにっこりと笑う赤屍。







なにいってんだ?

ただの聞き間違えだろうか?余計に頭がごちゃごちゃしてきやがった…





「お前、熱でもあるんじゃねぇの「病気なのはあなたです」
赤屍の方に向きおでこにあてようとした蛮の手をぐいと引いた。


「嘘ではありませんよ?あなたのことが好きです。嫌いだったら即効殺してるで
しょう?」
「は‥‥離せっ!!」
「逃げないで下さい。あなたを傷つけたくない。」
「赤屍……?」
強く光る瞳にびくりと無意識に怯える瞳で赤屍を見た。



「やっと目を合わして下さいましね」

嬉しそうに笑う赤屍。



「見にきい……」
そんな言葉と相手に堪えられず下を向く蛮。







この感覚はなんだ?


何故か、落ち着く。










「立てますか?」
起き上がる蛮の背を支えながら手を握ったまま問いかける。
「立てる。……っ」
床に足をつけてゆっくり立ち上がり歩くも平行感覚奪われフラリとよろめいた蛮の肩を赤屍が後ろから支えてやる。

「わりぃ、大丈夫だ…。」「何処が大丈夫なんです?やっぱりもう少し寝たほう
がいいですよ。」
そっとベッドの上に座らす赤屍。

「片目になれねぇとだめだろ……」
「その前に、身体を休めることが先です。私は医者ですよ?悪いことはいいません。安静にして下さい」
優しく相手を促すように言う赤屍を不思議そうな目で蛮は見た。


「なんか、いつものオマエじゃねぇ」
「いつもの私じゃないですか?‥‥クス、面白いことを言われますね美堂君。私はただ、あなたのことが心配なだけです」
「俺のことなんて心配する価値もねぇよ…ましてや敵のことなんてよ」


「あります。あなたは自分の価値を解ってない…だから周りが困るんです。あなたを‥‥美堂君を助けたくて」


「アホ言え」
真っ直ぐな言動気恥ずかしそうに頬を少し赤く染めながらそっぽ向く。
「変わったヤツ……」
「クス」













翌朝。




「ジャッカル!」

クローゼットを開け上着を羽織っていた赤屍の後ろ姿を見付け、ベットから降りて赤屍を呼んだ。


「どうしました?おや…大分回復したようですね」
しめようと手に取ったネクタイをハンガーに掛けて嬉しそうに蛮に近寄る。



「アンタのおかげでな…このカリはきっちり返してやるから待ってろよ!」
照れ臭そうに言う蛮を見て赤屍はクスリと笑う。


「はい、お待ちしております。今日はリハビリに二人でどこかにでかけませんか?」
手をすっと差し出す赤屍。

「だけど、こんなんじゃ迷惑かけるぜ…?」
「迷惑じゃありませんよ」
ふわりと蛮の頬に手をあて未だ包帯で見えぬ片目を見つめて微笑む。






「私があなたの片目になりますから」









「……ばーか。クセーセリフいってんじゃねぇよ」
相手の言葉に顔が上げられずふいをつかれたように耳まで真っ赤にしていた蛮により笑みが増す。




「それに、お返しなんてあなたがいるだけで十分ですよ」



額にキスを落とし、蛮の手を優しく引いた。
「さ、行きましょう」













「さんきゅ…、赤屍」

手を引かれるまま後ろで聞こえない程小さな声で呟いた蛮だった――…








 END.

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