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□眠り姫(眠れる森の美女)・後編
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「まぁーったく、寝顔もほんとお姫様だね…かわいいなぁ♪」
鏡は蛮が寝ている隣へと腰を下ろし、顔を覗き見る。
「そこをどいて下さい」
鏡を止めたのは、メスを握った赤屍ではなく、穏やかに喋る眼鏡の青年――雪彦
だった。
「どなたです?」
こちらも穏やかに尋ねる赤屍。
「はじめまして。弥勒雪彦です」
にこやかに笑う青年の手にはさり気なく光放つものが。ただならぬオーラにクスリと赤屍は笑った。
「おやおや。君は銀次君と居ませんでしたか?」
「はい。よくしってますね」
「待て!!!」
さらに制止の掛け声。
「これはこれは、あの“雷帝”までもが」
楽しそうにまたくすりと笑う赤屍。
「ちょっと兄が怒らしてしまって…」
「君は罪作りな子だね」
今まで黙って状況を見つめていた鏡がそう言って唇を重ねた。
「「「!!!!!!」」」
「‥‥‥ん」
そんなことも知らぬ蛮が、ゆっくりと目蓋を開く。
「やあ、おはよう♪お目覚めのキスだよ」
またもや蛮の唇にキス。
瞬間、鏡の体がその場から消し飛んだ。
いや、正確にいうと蛮を抱き上げ皆の攻撃を、偽の自分にあてさせたのだ。
「ぶっ殺す!!!」
と、雷帝。
にこやかな笑顔の赤屍。
目に鋭い光を放つ雪彦。
「なっ…なにがどうなって‥‥」
訳が分からずただならぬオーラに鏡の服を握る蛮。
「君は罪作りな子だねぇ、ほんとに…」
「??」
モニター室。
「あらあら〜蛮ったらもてもてねーっ」
「蛮はん、えらいふびんやなぁ…」
「あ、また誰か来ましたよ」
そんな後ろでの会話を聞きながらマクベスがモニターを指さした。
その先には‥‥‥
「まて、蛮は渡さない」
「あっ!邪馬人っ」
そう、入って来たのは工藤邪馬人。蛮は邪馬人を確認するやいなや鏡の腕から
降りて駆け寄った。
「蛮!!」
駆け寄ってきた蛮をしっかりと抱き締める。
「大丈夫か?ここは(と言うより人が)危ないから早く帰ろう」
「おっ、おう!」
二人の姿は、その場から消え去った。