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□特別治療時間
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立ち上がりひんやりとした手を蛮の頬に添えた。
「美堂くん、喉が渇いたりはしませんか?」
「ん…渇いた」
小さくこくりと頷く。
「少し待っててくださいね」
一言残し冷蔵庫へとペットボトルを取りに行く赤屍の後ろ姿を見つめながら、意外にいいヤツだな…と蛮は内心呟きながら見送った。
スポーツドリンクの入ったペットボトルを持ってベットサイドへと戻り蛮の顔色を伺う。
「美堂くん、起き上がれますか?」
「これくらいへーきだ…」
起き上がろうとする蛮の身体を支えてゆっくりと起こし腰辺りにクッションを置
いてやる赤屍。
面倒見のいい相手の一面に驚きつつ蓋を開けて差し出されたペットボトルを礼を言って受け取り、渇いた喉を潤した。
「ぷは…っ」
一気に喉越しよく飲み干す蛮にクスクス笑いながら半分以上無くなった中身を見つめる。
「おやおや、あまり一気に飲まれると身体が冷えてしまいますよ」
ペットボトルを受け取り蓋を閉めてベットサイドに置く赤屍。自分が着せたシャツ一枚の蛮の背にそっとカーディガンをかけた。
「大丈夫だっつの。…なあ、なんか食いもんねぇ?」
蛮は空腹を主張するように鳴るお腹を擦り、照れくさそうに視線反らしながら赤屍に問いかける。
「クス…でわ、作って来るのでちょっと待ってて下さいね」
相手の頬に垂れる髪を撫で上げてやり微笑んだ。
思わずドキッと動揺してしまった自分に気づき、焦ってその手を退け顔を反らした。
「早く、な…」
頬を薄くピンクに染めながらポツリと呟く蛮。
「はい」
更に笑みを深めて返事返し、赤屍はリビングへと戻った。
数十分後、
雑炊の中に色々な野菜等を入れて煮込み卵を溶いているとドアが開く音がし、ソチラに視線を移した。
「美堂くん?」
「トイレ…」
「此方ですよ」
壁を支えに歩く蛮を見れば弱火にして傍に行き、身体を支えて案内する赤屍。
蛮を案内した後、溶いた玉子を最後に入れて火を止め、器へと雑炊を移す。
四角のトレーに雑炊を入れた器と取り皿と蓮華を置いて用意をしていれば、蛮が戻って来ソファーへと座り両足を折り曲げ身を小さくしていた。
「お待たせいたしました」
料理が待ちきれないという様子に見え思わず笑み溢しながら、ソファーの前にあるテーブルにトレーを置いた。
「うまそ…っ!」
いい匂いに思わず笑み浮かべ呟く。
いただきますすと手を合わせれば早速取り皿に雑炊を取り始める蛮。
「熱いので気をつけて下さいね」
「…ぁつッ」
赤屍が忠告する間なく空腹に堪えられず既に雑炊を口に含んでいた。
蛮の行動に思わず笑ってしまう。
「あなたって人は本当に私を楽しませてくれますね」
満面の笑みを浮かべながら蓮華を持つ蛮の手の上から手を重ね、蓮華にのる雑炊に息を吹きかけ冷ましてやる赤屍。
「はい、どうぞ?」
「俺はガキか!コレくらい自分でするっ」
相手の行動に思わず赤くなり手を払って蓮華をくわえた。
丁度食べやすくなった雑炊を味わう蛮。
「……うめぇ」
ほどよくつけられた味と煮込まれた野菜。想像以上の美味しさに素直に溢れる呟き。
「お口にあったようで何よりです」
そんな蛮の様子を満足気に赤屍は見つめる。
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