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□約束
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まして俺が生まれなければ、なんて今更。






「卑弥呼、わりぃ――」
相手のの後ろへ1秒もたたぬうちに立てば、卑弥呼の記憶はそこで途切れた。

蛮はベッドへと卑弥呼を運び、寝かして外へと。








「……守るためには生きなきゃいけねぇんだよ。邪馬人の分まで」




固く拳を握る。


「殺されて当然だけどな」


ははとから笑いしながら星が輝く空を見上げた。

「‥‥線香の匂い?」
ふと、かすかに匂ってきたた香りに気づき、香りを辿りながら歩いて行く蛮。





と、そこには木彫りの十字架が。
その前には花束と線香。





きっと卑弥呼が作ったのだろう。裏には工藤邪馬人とキチンと彫られていた。


実の兄の死体を処理するなどどれ程、卑弥呼を苦しめたんだろうか。そんな考えが脳裏をよぎる。







「…なぁ、聞こえるか?」
ふとぽつりぽつりと言葉が。


「まだ死んでたった一ヶ月しかたってねぇ。これからずっとアイツが死ぬまで生きなきゃなんねぇんだよな‥」






約束を守るために






「まー多分俺がくたばることはねぇと思うけどよ」
冗談を言ってももう笑ってくれる仲間はいない。




もう信じれる仲間は誰も





「なぁ、しってっか?信じられる奴なんかこの世にいないと思ってたんだぜ」




騙すヤツと騙されるヤツ
支配するヤツとされるヤツ
奪うヤツと奪われるヤツ


そんなヤツしかいないと思っていた。
「オマエらとあって初めて信用した“仲間”だったんだよ‥‥」




『来るか?小僧』




「俺みたいなヤツ拾ってくれてよお。なぁ、邪馬人―…」
ぐるぐると巡る思考が停止したと思えば、疲労とろくに食べずにいたせいで衰弱した身体が支えを失いその場へと倒れていた。























『―ん、蛮』
「や、まと‥‥?」
気付くとなにもない真っ白な淡い光の中にいた。



どこかわからないけど何故か暖かい。




『んなところで寝てると風邪引くぜ』
目の前にはありえない人が立っていた。






「夢?なんで邪馬人が‥」







『…蛮、今でも愛してる気持ちはかわってねぇよ』

光の中、優しく微笑む。





嗚呼、アンタは俺を迎えにでも来てくれたのか?



内心問う。

このまま光に溶け込めたりしたらどれ程幸せだろうな…





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