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□約束
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信じられない発言に思考混乱し、どこか冷静な自分と戸惑う自分がいた。

「…俺は卑弥呼のたった一人の肉親のアンタを殺しちまった……愛してるなんて言えねぇだろ。むしろ俺あやまんねぇといけねェよ」
『いや。謝る必要はねぇ。あの時お前が俺を殺さなかったら俺が卑弥呼を殺していた……蛮のおかげなんだ』
ふわりと蛮を抱き締める邪馬人。





…温かい。


駄目だとわかりきっていても正直、このままでいたいと思ってしまう…


離れねぇと


すがってしまいそうで怖い





『苦しい思いをさせて悪い…ありがとな、蛮』
「‥卑弥呼の17の誕生日ぜってぇ繰り替えしたくねぇ。けどよ、もし、止めら
れなかったら…俺邪馬人のとこいっていいか?」
邪馬人の身体を押し退け、力なく笑う顔を上げた。







『だめだ!死ぬんじゃねぇよ!?』
「なんで…っ俺は、受け入れなきゃいけねぇんだろ?!だったらそのまま死んだって文句はねぇはずだ!!!」





自分が無茶苦茶なこと言ってるのはわかってた。

だけど止まらなくて







『ダメだ……俺はお前に生きてほしいんだ。俺の分まで。頼むっ蛮‥‥』
邪馬人は蛮をもう一度抱き寄せ、強く抱き締めた。






「勝手すぎる…邪馬人は」
『ああ』
「残された身にもなれよっ卑弥呼がどんな思いか」
服を握り締め顔を埋める蛮。




『蛮、オマエは本当に優しいヤツだな』
「なにが?!」
『自分より相手の事考えて犠牲になる。そんなんじゃあ苦しいだけだ‥』
「ちがう…違うっ!たぶん犠牲は…っ、」



――お前らだったんだ、



言いかけて思わず止まった。
邪馬人達が俺を殺すためだけの犠牲だったなんて言いたくない。


“犠牲”と言う名の生け贄で、人一人を殺すためだけの人。




邪馬人はそんな存在じゃない。








俺にとっては居場所で大切な仲間で大好きな人だ










「俺さえいなければ。死ななかったんだ。誰も」






そんな呟きしか出て来なかった。





「もう誰も苦しめたくねぇよ…っ、これからずっと生きても憎しみを増やすだけなことは分かってる…」






誰よりも憎まれる存在



生まれ落ちた時から呪われし瞳を継ぎ

母という女から悪魔と嫌悪され

父に捨てられた








生きるすべをたたき込まれ孤独に生きるそんな日々

生きるためならなんでもしてた







本当に、なんでも……







すべては己のため。

所詮、俺はバケモノだ。

人と関わるべきじゃない





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